スコットランドFAQ – 6

Maratさんという方から質問をいただきました。

こんにちは。
スコットランドに留学しようと考えている者です。

質問なのですが、エッセイによるとスコットランド訛りは
好感度が高く、評判がいいとのことですが、それはスコットランドの
どの地方の訛りを意味しているのでしょうか?

また、スコットランドの地方それぞれの訛りの特徴は
どのような感じなのでしょうか?

ご教授お願いします。

ご質問にあるエッセイというのはこちらですね。

エッセイ・ふだん着のスコットランド
5章 スコットランド人って何だ? ~ 標準スコットランド弁

方言が特定の印象を喚起される、というのは日本語でもありますよね。例えば大阪弁を聞くと自動的に吉本芸人とか大阪のおばちゃんとかいったステレオタイプのイメージが喚起されて、なんとなく「大阪弁をしゃべる人」=「がさつ」といった先入観がついつい入ってしまう、でも同じ関西方言でも京都弁の場合はおっとりと上品なイメージがある、という具合。英国内のアクセントについても同じように無意識に固定されたイメージがあるようです。さらに英国では階級によるアクセントの違いというのもあって、いわゆるオックスブリッジアクセントや「クイーンズイングリッシュ」は一般大衆にとっては「上品で知的」ではなく逆に「すまし返って偉そうな感じ」といったネガティブな印象を与えることもあります。で、各種アクセントについて人々がどんな印象を受けるかという研究調査を行ったところ、スコットランド訛りの人からは「温かみがあって信用できそうな印象」を受けるという結果が出たのだそうです。この結果については、特にスコットランド内のどのアクセントという厳密な区分はしていないようです。確かにひとくちにスコットランド訛りといっても地域や階層によりいろいろなアクセントがあります。が、平均的、標準的な、あまり地方色の強くないスコットランド訛り、というものは存在します。

BBC Scotlandのニュースキャスターの例


政治家の例

温かくて信頼できる感じ、するでしょうか?

スコットランド方言全体に当てはまる特徴については以下のページも参照してください。
http://en.wikipedia.org/wiki/Scottish_English
(英語ページ)
※日本語ページもありますが(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E8%8B%B1%E8%AA%9E)、今のところ書きかけ状態で、英語版ほど詳しくありません。

次にスコットランドの地方それぞれの訛りの特徴ですが、言葉で説明するのも難しいので、例を拾ってみます。違いがわかるでしょうか?

ただし、同じ地域の出身の人でも階級差によるアクセントの違いや世代間での違いが存在し、また上記の例も知人同士の会話を録音しただけの非常に聞きにくいものと、カメラを意識してわかりやすく話しているものが混在していますので、この地方では誰もがこのように話しているということではありません。あくまで参考例ということで。

Stranraer: 南西部

Glasgow: 西部

Edinburgh: 南東部

Fife: 東部

Dundee: 中部

Aberdeen: 北東部

Highlands: 北西部

なお、最初のStranraerの人の話は私もさっぱりわからないです(苦笑)。
EdinburghとHighlandsの若い人の録音は聞きやすいと思います。ちなみにEdinburghの人は「グラスゴーの不良少年の話し方の真似」というビデオも作っていて(http://www.youtube.com/watch?v=ewo0HwyND-c)、こちらは同じ人が普通に話しているビデオに比べて格段にわかりにくいと思います。比べてみてください。(でも本人はグラスゴー訛りをまねしたつもりでもやっぱりエディンバラ訛りの不良少年になってる・・・(笑)。)
個人的には、Fifeのヒゲのおじさんの話し方は前のダンナのお父さんの話し方とすごく似ていてとても懐かしく感じました。

Susan Boyle’s dream hits the road – 夢やぶれた後

昨日のスコッツマン紙のニュースフィードより。
Susan Boyle’s dream hits the road

前回の「スコットランドニュース」を書いていてふと、「そういやここ2ヶ月ほど世界中でいちばん注目を浴びていたスコットランド関連ニュースを取り上げていなかったな」と思い出しました。と言うわけで、スーザン・ボイルです。

まあ日本でもNHKを含めマスコミに大々的に取り上げられてますので、今さら紹介するまでもありませんね。この人です。

(日本語字幕つきバージョン)

英国の民放ネットワークITVの Britain’s Got Talent というタレント発掘番組の第3シリーズに登場したスコットランド人女性。グラスゴーオーディションで見た目からは想像もつかない美しい歌声で観客を沸かせ、その様子を収録した4月11日放映の番組は1000万人の視聴者を集めました。そのビデオがYouTubeに掲載されると今度は話題は世界中に飛び火。アメリカのテレビで取り上げられるまでに至って日本でも話題となりました。

ファイナルが近づくにつれて騒ぎはますます大きくなり、ホテルでからかわれて怒鳴り合いを演じて警察が出動する羽目になるなど、彼女の周囲はぴりぴりした状況に。

そんなプレッシャーもあってか、5月30日に放送されたファイナルでは感動のオーディションと同曲を歌うもダンスグループに優勝をさらわれて第2位。決勝直後にYouTubeにアップロードされた「スーザンに1票を」と呼びかけるビデオにライバルグループへの投票用電話番号が表示されるというハプニングがあったことから、これが敗因で本来ならもっと票を集めたはずではないかとの声も上がったそうですが、結果が発表されるとスーザンは優勝グループを「いちばん良かったから勝った」と祝福。しかしその後の舞台裏や宿泊先ではパニック症状から手をつけられないほどの錯乱状態を見せて、私営精神病院で芸能人の中毒治療などでも有名な「ザ・プライオリー」に緊急入院という結果になりました。病院は「過労の治療」と説明。しかしスーザンが出生時の酸素欠乏から学習障害があり子供の頃はいじめにあっていたことなども取りざたされて、番組制作側が出場者のサポートなどをきちんと行っていないのではとの批判が高まり、政府も調査を指示するほどに。一方番組審査員のアマンダ・ホールデンは「マスコミがあることないこと書き立てて大騒ぎするからストレスに耐えられなくなっただけ」と反論。いずれにせよ数日でスーザンも落ち着き、5日の入院後退院し、スコットランドの自宅に戻りました。

「夢やぶれて」という歌で世界にその名と歌声を知られるようになったスーザン・ボイル。皮肉にも優勝の夢はその通りやぶれる結果になったものの、元気を取り戻して Britain’s Got Talentライブツアーのリハーサルに参加した、というのが今回の記事でした。それとは別にアメリカなどからも出演オファーは引きもきらず、番組審査員の一人で辣腕音楽プロデューサーとしても知られるサイモン・コーウェル(と日本では呼ばれてるようですね。実際の発音はカウェルなんだけど)がレコード契約を結びたがっているという話もあり、「エレイン・ペイジくらい有名な歌手になりたい」という夢はしっかりかないそうな様子です。

おまけ:
スコットランド訛りを聞くのが好きで・・・という人もいるようなので、スコットランドのテレビが行ったスーザンのインタビュー。

SNP secures first euro poll victory – ナショナリズムの形

今日のスコッツマン紙のニュースフィードより。
SNP secures first euro poll victory

最近私の周囲を見ると、今月下旬の東京都議選告示を前に、選挙運動がすでに幕を切っているようです。国政面でもいつ解散総選挙になるかもわからないということで、すでに各党は準備を進めている様子。候補者の手伝いをしているサル友などもいて、Mixi日記にも選挙関連の話が出てきたり、政治の季節という感じです。

在邦外国人である我が家は誰も選挙権がないので、まあ他人事のようにそれを眺めているのですが・・・。

一方、ヨーロッパでは欧州連合(EU)の加盟国27ヶ国で欧州議会選挙が行われました。
本来なら私にも在外投票権がある選挙なのですが、在外投票人登録が遅れたため間に合わず、投票できませんでした(泣)。登録にはすでに日本に暮らしている英国人に保証人になってもらう必要があるんですが、周囲の知人は日本人とアメリカ人ばかりで、英国人を探すのに思いのほか苦労したのです。

さて、投票しそこなったこの選挙、国によって選挙制度や選挙日として規定している日が違うため投票は数日に渡り、6月4日(木)から7日(日)にかけて、ばらばらと投票が実施されました。英国では選挙の投票は木曜日と決まっています。27ヶ国の中では真っ先に選挙を済ませたものの、開票・結果発表は全ての国で投票が終了してから。じりじり待たされての開票となりました。

多数の国でひとつの議会の選挙を行う欧州議会選挙では、各国での投票は大体においてその国の既成政党に投票し、そうした各国の政党が似たような性格の党同士でグループを形成して「欧州政党」を形成するという形になります。ふたを開けてみると、欧州全体としては中道右派グループである欧州人民民主党(European People’s Party)が267議席で第一党の地位を確保。欧州社会党が大幅に議席を減らし、代わりに右派グループ・政党が議席を伸ばし、全体として右傾化の傾向が浮き彫りになりました。

英国でも国会与党である労働党(欧州社会党グループメンバー)が衝撃の大敗北。得票率を6.9%減らして15.7%に、議席は5議席を失って13議席という結果になりました。この敗北により、ゴードン・ブラウン首相(しつこく言うけどスコットランド人)が退陣を迫られることは必至という状況です。ところが、その失った5議席が国内野党第一党で欧州議会では最初から第一党だった保守党(かつては欧州人民民主党グループだったが袂を分かち、右派新グループ結成を模索中)の懐に転がり込んだのかと思ったらそうではなく、保守党は得票1%増で27.7%、1議席増の25議席にとどまりました。残る4議席の行き先は、国内第三党で中道左派の自由民主党(日本の同名政党とは無関係。欧州自由民主同盟メンバー)が1議席、そして保守党よりさらに右寄りの英独立党(UKIP。欧州議会では反EU・EU懐疑派の独立民主グループのメンバー)に1議席、極右政党である英国民党(BNP)に2議席。UKIPはなんと得票率16.5%で国内与党である労働党を抜かして2位につけ、議席数も労働党と同数という躍進ぶり。また6.2%の票を集めたBNPは初の欧州議席獲得になりました。どちらの党も反EUが党是のひとつで、それが欧州議会で数を伸ばすという皮肉な結果。英国以外でも、欧州主要国では軒並み右派勢力が台頭しています。

この背景には、経済危機による失業者数増加と生活不安から、移民問題に対して強硬策を約束する極右ナショナリスト政党が支持を得たことがあるようです。欧州外からやってきて安い賃金で働く移民労働者のせいで欧州国民が職を失っている、だから移民排斥に力を入れるべき、という論理です。その「移民」のくくりには私も入るわけで、正直言ってちょっと怖い結果です。やっぱり早めに在外投票登録して投票すれば良かった~(たった2票で結果が左右されるわけじゃないけど、やっぱりねえ・・・。日本人の皆さんも、選挙ではちゃんと投票しましょう!)。

さて、ここまでは欧州全体と英国全体の状況だったわけですが、ではスコットランドではどうだったかというと、こちらも労働党が得票率を5.6%減らして20.8%となる大敗北。でも、英国全体では議席を増やした保守党も同じく得票を0.9%減らして16.8%に、また英国全体では第2位に躍進したUKIPもやはり得票1.5%減で5.2%。では勝ち組は?というと、これはスコットランド議会の与党であるスコットランド国民党(SNP)。得票率を9.4%増やして29.1%とし、議席数こそ前回と変わらないものの史上初めて欧州選挙で労働党を抜いて得票数第1位の地位を確保するという結果になりました。

一見するとナショナリスト政党の躍進は欧州全体の流れと一緒でしょ、とひとくくりにされてしまいそうですが、SNPはナショナリスト政党といっても政策的には中道左派政党。欧州議会でも中道左派の欧州緑の党・自由同盟に所属。スコットランドでは「労働党よりも左寄り」と目される場面も多い政党です。その政策は、「英国と袂を分かち、独立国としてEUに参加して欧州内での発言権を確保する」という親EU路線。スコットランドの政治的傾向はやはり英国全体・欧州全体とはかなり違う様相を示すという結果になりました。SNP党首でスコットランド議会首相のアレックス・サーモンドは、これで国民からお墨付きを得た格好。スコットランド独立という党是に国民過半数の支持を得られるまでにはまだまだ遠い結果ではあるものの、スコットランド議会での采配に自信を深めたことは間違いありません。

この次のスコットランド議会選挙は2011年。その頃には我が家はまだ日本にいる予定。スコットランド議会選挙はスコットランドに住んでいないと投票できないため残念ながら私は傍観するしかありませんが、この調子で行くとSNPがさらに足場を固める可能性は強そう。一方英国総選挙は2010年の予定(その前に解散する可能性もあるけど)。こちらでもスコットランドでの投票傾向がどう動くか気になるところです(こっちはうちもちゃんと在外投票できるしね♪)。

4月6日にスコットランド友好150周年記念コンサート

4月6日(月)に新宿の東京オペラシティホールにて、スコットランド友好150周年記念コンサートが開かれるそうです。日本とスコットランドの友好関係を祝い、音楽を通じてさらに友好を深めることを目的とするコンサートです。プログラムは2部構成で、第1部はクラシックで、スコットランドや日本をテーマとする曲をオーケストラが演奏。第2部はスコットランドの伝統音楽で、最後のシメはもちろんAuld Lang Syne大合唱。チケットはA席5000円~C席3000円だそうです。詳しくは以下に。

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http://www.scottishdevelopmentinternational.jp/concertより引用:

スコットランド友好150周年記念コンサート
Scotland and Japan in Concert

概 要

来る4月6日(月)に東京オペラシティホールにて、スコットランド友好150周年記念コンサートが開催されます。 このコンサートは日本とスコットランドの長きにわたる友好関係を祝い、音楽を通じてさらに友好を深めることを目的とするものです。

スコットランド・フィドルオーケストラの主要メンバーやシンガーを迎えての、東京フィルハーモニー交響楽団によるコンサートは、日本からの指揮者は藤岡幸夫、そしてスコットランドからはアンドリュー・マクガーバによる2部構成でお届けします。日本とスコットランドを代表する楽曲を存分にお楽しみください。

第1部はスコットランドと日本を題材とした純粋なクラシック音楽で構成され、

第2部は前半とは対照的に、スコティッシュ・フィドル・オーケストラからのゲストアーティストを迎え演奏する曲を盛り込んでの演奏です。

日時 :4月6日(月) 開場午後6時半、開演午後7時

会場 :東京オペラシティコンサートホール (新宿初台)

チケット : A:5000円 B:4000円 C:3000円

主催 :スコットランド国際開発庁

協賛 :ロイヤルバンク・オブ・スコットランド東京支店、アール・ビー・エス証券会社東京支店

プログラムについて:Programme

指揮者について:Conductor

出演者について:Cast

チケット購入: 各地のチケットぴあカウンター、または コンビニエンスストア(サンクス、サークルK、ファミリーマート)、または電話(音声自動応答)にて購入可能です。

* チケットぴあ店舗一覧
http://search.pia.jp/pia/spst/spst_map01.do
こちらからご覧いただけます
* 店頭購入ご案内(チケットぴあ店舗、ファミリーマート、サークルKサンクス)
http://t.pia.jp/guide/retail.html
* 電話にてのチケット購入:チケットぴあ 0570 – 02 – 9999
(音声自動応答Pコード 314 – 422) http://t.pia.jp/
公演に関してのお問い合わせ:スコットランド国際開発庁 03 – 5501 – 3479

スコットランド国際開発庁

ご連絡先:PR担当佐々木

masako.sasaki@scotent.co.uk

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ところでスコットランド友好150周年って何を起点に数えてるんだろう?
日英修好通商条約締結は1858年だけど(去年はそれを記念して「UK-JAPAN2008」というイベントがあった)、トマス・グラヴァー来日?横浜・長崎の開港?

Robert Burns Lost in Translation? / ロバート・バーンズ不人気は悪訳のせい?

Mixiの翻訳・通訳関連コミュニティで、「翻訳で失われゆく原文の意味」と題する、翻訳で恥をかいた企業についてのMSNのコラムというのが紹介されていた。

http://englishtown.msn.co.jp/sp/teacher.aspx?articleName=118-lost&Ctag=118-lost
(上記リンク先ページは消えていますが、コラムはこちらに再掲されています。→ https://publications.asahi.com/ae/stepup/87.shtml

誤訳に関する笑い話にはことかかない。私が所属している英国翻訳通訳協会(ITI)の会誌には、”Onionskin” と題した誤訳に関する連載コラムがあって読者の現役翻訳者・通訳者やそのたまご達に大人気だし、日本社会に氾濫する誤訳や珍英語についてはwww.engrish.comというサイトもある(もっとも最近は中国や韓国の例の紹介が増えてきているようだが)。

だがこのMSN記事、読んでいてなんだか違和感を感じないだろうか?
そう気がついてGoogle検索してみたところ(Googleは翻訳者にとって重要なツールのひとつ。・・・という話はまた後日に)、出てきたのがこれ。

http://www.englishtown.com/community/article/118-lost.html

つまり、先の記事はこの英語記事の和訳だったわけだ。違和感の原因は、日本人読者を想定して書いたものではない記事を和訳したものであることからきていたのだった。

この記事で特に私の注意を引いたのは、後半に出てくる「バーンズの詩の日本語訳」の話。バーンズと言えばスコットランドの国民的詩人。今年2009年は折りしもスコットランドでバーンズ生誕250年をネタに大々的な観光客誘致キャンペーンを実施中だ。スコットランド+翻訳となると完全に私のテリトリーだから無視できない。

そもそもこの記事がいうところの「日本語版のバーンズに起こった悲劇」、本当のところはどうなのか。

記事で引用されているのは、Address to a Haggis と題された詩の冒頭部分である。その邦訳は本当にそんなにひどいのか?検証してみよう。

引用されている部分の原文は、
“Fair fa’ your honest, sonsie face,
Great chieftain o’ the puddin-race!”

英語が得意な人が読んでも、実はこれ、よくわかんないだろうと思う。「fa’ って何の略だよ、sonsie なんて単語、英和辞書に載ってねえじゃん」ということになる。それもそのはず、この詩は英語ではなくスコットランド語で書かれているのだ。

ではこの冒頭部分を英語に訳すとどうなるかというと、
“Fair full your honest, jolly face,
Great chieftain of the sausage race!”
となる。

邦訳のバーンズ詩集が手元にないので、ネットで日本語訳を検索してみると、こういうのが出てきた(ロバート・バーンズ研究会編訳)。
「正直なおまえの笑顔に幸いあれ!
腸詰め一族の偉大な王よ」
(出典:http://tabi.com/contents/feature2/homecoming/poems.html

で、この邦訳を英語に訳し戻したのがMSN記事の
“Good luck to your honest friendly face, Great King of the sausages.”
であり、さらにそれを再び日本語に訳し戻したのが和訳版記事の
「あなたの率直で親身な顔に幸あれ、ソーセージの偉大なる王よ。」
となるわけだ。

では原詩の英訳
“Fair full your honest, jolly face,
Great chieftain of the sausage race!”
と邦訳の
「正直なおまえの笑顔に幸いあれ!
腸詰め一族の偉大な王よ」
でそんなに大きな差があるかというと、まあ「幸いあれ」は完全に意訳だが、「ハギスに捧げる」という賛美の詩であることを考えれば充分許容範囲だし、chieftain が王に格上げされていたりといった細かい違いも特に大きな問題ではないだろう。翻訳が粗悪なのが原因で原詩の魅力が失われている・・・とはどうも思いがたい。だってこれ、原詩だって充分ヘンでしょう。「腸詰一族の偉大なる族長よ」ですよ。訳でも充分そのヘンさは伝わってると思う。

この詩の魅力は、ハギスというまるっきりふつうの庶民的な食べ物を、スコットランドの田舎言葉でまじめな顔して思いっきり過大に賛美しているおかしさだ。たとえば秋田弁で「きりたんぽを讃える」とか、大阪弁で「たこ焼きに捧ぐ」なんて詩があったらと想像してほしい。で、年に一度の記念日に、このコテコテ賛美詩を朗誦しながら、きりたんぽなりたこ焼きなりを一同にふるまうセレモニーを行い、みんなでいっせいに食べるのである。ね、笑えるでしょ?そもそもハギスという食べ物を聞いたこともないし、バーンズナイトでハギスにナイフを入れる儀式も見たことない人にこの詩がよくわからないのは、いわば当然。誤訳や悪訳のせいにするのはおかど違いだろう。

「Lost in Translation/翻訳で失われゆく原文の意味」というこの記事のタイトル、記事自体にこそ当てはまるような気がするのだが。

そもそも日本でバーンズの詩がそれほど知られていないのは、スコットランド民謡が日本に導入された時に行われた「バーンズ外し」に原因がある。例えばこれ。
http://www.youtube.com/watch?v=FyDTVwR8V7A
新年が明けたときに世界中で歌われているこの歌、スコットランド民謡 “Auld Lang Syne” である。この詩を書いたのがロバート・バーンズ。が、日本人がこの歌を聞くと、「ああ、蛍の光ね」と思ってしまう。そもそも毎年NHKの紅白歌合戦の最後に卒業式の歌であるはずの蛍の光を歌うのはなんでだろう、と思ったことありませんか?これはAuld Lang Syneを歌いながら新しい年を迎えるという世界的な慣習を踏襲したものなのだ。 “Auld Lang Syne” はこれまたスコットランド語で、英語にすれば “Old Long Since”。日本語では「久しき昔」と訳されているようだ。その内容は、「昔馴染みと一緒に杯を空け、古きよき日を思いつつ乾杯しようじゃないか」という飲み会ソングである。
が、この歌が小学唱歌として日本に紹介された時に、原詩とは全く関係のない歌詞が新たに作詞され、「蛍の光」という勤勉を讃える卒業式の歌に変身したのだ。

同様の例に、「故郷の空」という歌がある。これも小学唱歌だがもともとはバーンズの詩で親しまれているスコットランド民謡 “Comin Thro’ The Rye”。「故郷の空」の小学唱歌版歌詞は遠い故郷の家族を懐かしむ詩で、太平洋戦争中の兵士の愛唱歌だったと聞くが、バーンズの詩は「ライ麦畑を通り抜けて出会った2人がキスしたっていいじゃないか」というかなり軽薄な内容。ドリフターズが昔歌った「誰かさんと誰かさんが麦畑・・・」という替え歌の方が、原詩の訳ではないけれど原詩の意図にはずっと近いのだ。

英国ロマン主義文学の先駆けと紹介されることが多いロバート・バーンズだが、素顔のバーンズは熱血正義漢の貧乏青年農夫(苦労がたたって37歳で病死している)である一方、酒好き、女好き、冗談好きの若者だった。作品にもそういう彼の人柄・性格がよく表れていて親しみやすい。文学史に名を残す詩人という触れ込みにこだわらずにぜひ作品を読んでみてほしい。
バーンズ詩集 (岩波文庫 赤 215-1)
ロバート・バーンズ詩集

今週ケルティックウィーク「スコットランドの日」

今週2月24日(火)~28日(土)まで、六本木ヒルズのテレビ朝日内の多目的スペースumuにて、「ケルティックウィーク2009」というイベントが開催されます。

ケルティックウィークは、音楽、ダンス、アート、言語、絵本などを通して、ケルト文化を紹介するイベントです。毎日、様々なワークショップ、コンサート、展示や販売などが行なわれます。

毎日日替わりテーマが決まっており、木曜日は「スコットランドデー」。タータンショップ・ヨークによるタータンのファッション・ショー、スコッチ文化研究会によるウィスキーのテイスティング、ブリティッシュ・ライフによるスコットランド・グッズの販売、日本スコットランド協会(JSS)の活動紹介展示などが行われます。スコットランドについて知る格好のチャンスですよ!

また、スコットランドデー以外の日にも、スコティッシュダンスや歌、バグパイプなどスコットランドの文化を体験できるワークショップがありますのでお見逃しなく。土曜日午後はグランドフィナーレ。ケルト音楽とダンスで幕を閉じます。プログラム詳細はこちらをご覧ください。

イベントスケジュール

ワークショップ詳細

さらに!イベント会場にでは留学相談コーナーも設置されます。経験豊富なスタッフに気軽に留学相談ができます。このコーナーのオープン時間は、火曜~金曜は13時から17時まで、土曜日は11時~17時までとなっています。

ケルティックウィークは入場料500円、各ワークショップ参加費2000円(入場料含む)ですが、木曜のスコットランドデーに限りオープンデーで入場無料(*)になります。ぜひぜひお見逃しなく!
*ウィスキーテイスティングのみ別途1000円の料金がかかります。

スコットランドにお帰りなさい、の歌

スコットランドにお帰りなさい」で紹介した “Homecoming Scotland 2009”キャンペーンですが、向こうのテレビではこのキャンペーンのCMを流しているのだそう。

検索していたらYouTubeでビデオを見つけました。こちらです。スコットランド出身の歌手や俳優、スポーツ選手が登場して、「大好きなスコットランドに帰るんだ」と歌います。

最後のテロップの訳:
2009年はスコットランドにとって重要な年
ロバート・バーンズの生誕250周年です
だからみんなでお祝いします
年間を通して200を超える記念イベントをやります
世界中をご招待します  あなたも来てね

このCMを見て、たいていのスコットランド人が思い出すのが、同じ曲を使った別のテレビCMでしょう。あきらかにパクリ効果を狙ってます。オリジナルの方は1990~91年にTennentsというビール会社が流したもので、スコットランドでは爆発的な人気を呼び、CMで使われた曲がシングルリリースされて、1992年にはチャート1位のヒットになりました。曲はDougie MacLeanというフォーク歌手の1970年代の作品”Caledonia”のカバーバージョンで、ロック系歌手のFrankie Millerが歌っています。 ちなみにカレドニアというのはスコットランドの古名・雅名です。


心もすさむ大都会で暮らすスコットランド人が、ある日何もかも嫌になってスコットランドにふいっと帰ってしまう。すると故郷では昔からの友人が今日もなじみのパブで集まっていて、まるでいなかった日々が嘘のように迎えてくれる・・・という内容は、これ自体がビールの宣伝というよりはスコットランドの宣伝。スコットランド出身者の帰巣本能を刺激します。いや、これ久しぶりに見たら私も帰りたくなっちゃいましたよ。といっても今月すでに(半日だけだだったけど)帰ったばかりなんですが、エディンバラでウェイヴァリー駅から外に出るとこのCMの通りの風景が迎えてくれて、なんかうれしくなっちゃうんですよねー。いいですよ、スコットランド。行ったことのある人もない人も、一度「帰って」みませんか?

歌詞の訳:
(著作権とかややこしいことがあるので原詞は掲載しません。興味ある方は検索してみてください)

僕に訪れた変化に君は気づいているだろうか
なんだかこのまま遠ざかってしまいそうだと
ここ数日というもの心配になっていたんだ
だから古い物語を語ったり歌を歌って
自分がどこから来たのかを考えていた
今日僕が心あらずに見えるのはそのせいだ

だけど君を愛してるよ
いつも君のことを考えているよ
カレドニア
君が僕を呼んでいる
だから帰るんだ
もしよそ者みたいになってしまったら
僕にとってそれほど悲しいことはないって
君もわかってるよね
カレドニアは
僕にとってすべてなんだから

スコットランドにお帰りなさい

スコットランドの国民的詩人と言えばロバート・バーンズ(Robert Burns)。文学史ではロマン派詩人のカテゴリーに入れられるようですが、スコットランド語/方言を使ってベタな恋の詩から痛烈な政治批判、コミカルな物語詩まで庶民の視点から作品を書き、大評判をとりました。大晦日の夜に「蛍の光」を歌って新しい年を迎えるという風習は今では世界中に広まっていますが、もともとはスコットランド発のもので、「蛍の光」はスコットランド民謡。これにバーンズがつけた歌詞 “Auld Lang Syne” で歌うというのが本来のセレモニーです。(ちなみに「蛍の光」は中国故事の苦学の話をベースにした卒業の歌ですが、 “Auld Lang Syne” は「友よ、旧交を温め一緒に飲もうじゃないか」という酒盛りの歌です。)バーンズの誕生日である1月25日の夜はスコットランドでは “Burns Night” と呼ばれ、バーンズが詩で讃えたスコットランドの伝統料理ハギスを食べ、スコッチを飲み、バーンズの詩を朗読し、バーンズが歌詞をつけた歌を歌い、最後はやっぱり “Auld Lang Syne” でしめる、という食事会 (Burns Supper) を行います。

さて、今年2009年はバーンズ誕生250周年。これを記念して今年はスコットランドでは今年を「バーンズの精神に倣って旧交を温める年」と位置づけ、大々的なキャンペーンを行います。題して “Homecoming Scotland 2009”。「スコットランドに帰っておいで」というキャンペーンです。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドといった英語圏諸国にはその昔スコットランド人が多く移民しており、今でもスコットランド出身というルーツに誇りを持つ人たちがたくさんいます。そうした人たちにスコットランドに来てもらって「お帰りなさい」と迎えようというのがキャンペーンの主旨。中心となるのは1月25日前後のバーンズナイトイベントと夏のエディンバラフェスティバル、そしてホームカミングのフィナーレとして位置づけられた11月30日の St. Andrew’s Day (スコットランドの守護聖人である聖アンドリューの記念日。最近国の祝日に昇格した)関連イベントですが、他にも年間を通じて様々なイベントが企画されています。主なターゲットは英語圏各国のスコットランド系住民ですが、「スコットランド好きな人は誰でも歓迎!」とのこと。ちょうど今はポンドも安いし、これを機会にぜひ今年はスコットランドを訪れてはいかがでしょうか?

Homecoming Scotland 2009ホームページ(英語)
(http://www.homecomingscotland2009.com)

英国政府観光庁の Homecoming Scotland 2009 紹介ページ(日本語)

“UK/Scottish Cultural Consultant”

… is what I’ve got printed on my business card.

I quit my job in Scotland to come to Japan with my husband and decided to go freelance rather than look for another in-house position. So I had to print some cards, and after some pondering – should I include “interpreter” or “writer”? would “language services” be a good idea? – I went for this:

Yuno Dinnie
Translator
UK/Scottish Cultural Consultant

The last one naturally attracts most attention when I give my card, and not just because of its wordy length. “What sort of work do you do as a consult then?” is the question, and I included that line to solicit this very question.

So what do I do? Basically, what I am hoping to achieve is to be someone to whom people would turn for information about Scotland (and the UK). I want to tell people in Japan about Scotland, that’s me – a self-appointed PR officer for Scotland in Japan. My website, Scotlandjoho.com, is my platform for this activity, and I write stuff (in Japanese) about Scotland on my blog (Scotland FAQ, Scotland News) as part of my job in this capacity.

In addition to the things I do on the Internet, I also:

  • work as a writer, writing about Scotland
  • help other writers, translators, editors, TV production people, etc., by providing information about Scotland
  • work with companies and organisations in Scotland who wish to promote themselves in Japan

To expand a bit on the second line of work:

  • If I can answer questions using the information/knowledge I already have, I do so free of charge. If the information is required as part of publishing/production work, I ask that my name be credited, with my website address, as acknowledgement.
  • If I need to conduct research, I charge an hourly research fee.
  • If translation is required, I charge my standard translation fee. Please note that copyright clearance must be obtained in order to use the translation in publication – please ask for details.

So far I’ve only answered queries I could answer easily enough, so it’s all been pro bono until now, but I’m still hoping that all this will someday generate some income…

And all the help I’ve given companies/organisations so far has only amounted to translation work rather than anything as glamorous as “consulting”…

But hey, that’s the idea at least: if it’s something to do with Scotland, I’ll be happy to do it. Oh, and also anything to do with the UK in general (I do say “UK/Scottish Cultural Consultant”, after all). As to England, Wales and Northern Ireland – I’m sure there are other people who are more knowledgeable than me, but if you insist, yeah I’ll do those areas too…

Interested? For enquiries, click here:
Contact Form

「英国・スコットランド文化コンサルタント」

日本に来た時にそれまで勤めていた会社を辞めなければならなかったので、それを機会にフリーランスになりました。そこで、名刺を印刷しました。仕事を何と表記しようか、「通訳」とか「言語サービス」とか「ライター」とかも入れようかとも思ったんですが悩んだ末に選んだのがこれ。

杉本 優
翻訳者
英国・スコットランド文化コンサルタント

名刺を渡すと、やっぱり注目を浴びるのが最後の長いやつで、「どんな仕事してるんですか」と聞かれます。まあそれが狙いでえらそうな名前にしてみたわけですたが、ぶっちゃけた説明をすれば、要するにこの職名のもとで私が目指しているのは、「スコットランド(と英国)情報屋さん」です。「スコットランドについて日本に紹介し、理解してもらうこと」がその使命です。

ウェブサイトのスコットランド情報ドットコム(http://www.scotlandjoho.com)はその活動のプラットフォームということになり、ブログに時々書いているスコットランド関連の内容(スコットランドFAQとかスコットランドニュースとか)も活動の一環ということです。

ネット上の情報発信以外のメインの活動としては、

  • ライターとして、スコットランドについての記事等を執筆
  • 他のライター、翻訳者、編集者、テレビ番組等制作者のために、スコットランドについての情報提供その他の協力
  • 日本でPRを行いたいスコットランドの企業・団体等への協力

と考えています。

2番目の「情報提供その他の協力」業務について説明しますと、

  • 手持ちの情報ですぐにお答えできる質問等については、無料でお答えしています。出版・制作などで使う情報の場合は、協力者として名前とホームページアドレスを掲載・表示していただくことをお願いしています。
  • 調査が必要な内容については、時間ベースで調査費用をいただきます。
  • 英語情報の翻訳が必要である場合は、通常の翻訳料金をいただきます。なお、翻訳をそのまま出版などで使用する場合、原文著者の著作権・版権が絡みますので注意が必要です。詳しくはご相談ください。

これまでのところは「手持ちの情報」レベルの依頼しか受けたことがないので、全然収入につながってませんが・・・。

スコットランドの企業・団体への協力というのも、これまでのところは通常の翻訳業務の範疇に収まるレベルの仕事しか実績がありませんが・・・。

それ以外の仕事でも、要はスコットランドに関係あることなら引き受けますよ、というのが主旨ですね(笑)。また、一応「英国・スコットランド文化コンサルタント」と銘打っていますので、スコットランドだけじゃなくて英国全体に関する内容も守備範囲です。イングランド、ウェールズ、北アイルランド関係の内容については、私よりも詳しい人が他にいるんじゃないかとは思いますが、要請があれば承ります。

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