Category Archives: スコットランドFAQ

スコットランドFAQ – 9(バグパイプについてのツイートまとめ)

例によってTwitterの「スコットランド」キーワード検索を読んでいたら、こんな会話が進行していた。

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amekura101: ボヘミア地方にバグパイプっていうイメージが湧きにくい。

amekura101: 手元のハーヴァード音楽辞典だと、ヨーロッパだけでなく、北アフリカ、中近東、中央アジア、インドでも人気があった/あると書かれていました。うーん。イメージ (先入観) っていうのは恐ろしいものですねえ。ありがとうございます。 @shostakovich @maroemon

maroemon: そうですね。でも実はかなり広く分布しているんですよね。個人的には東欧だとポーランドのが有名という感じを持っています。RT @amekura101: ボヘミア地方にバグパイプっていうイメージが湧きにくい。

maroemon: @amekura101 それなのに、なぜスコットランドのやつだけがこんなに有名になったのか、調べたら面白そうですよね。誰かやってくれないかなあw

amekura101: 観光、帝国主義、ナショナリズム、民族ステレオタイプの創生、なんて勝手にキーワードを出してみたり。 RT @maroemon: @amekura101 それなのに、なぜスコットランドのやつだけがこんなに有名になったのか、調べたら面白そうですよね。誰かやってくれないかなあw

tinouye: @maroemon わたしは単純にあの服装とセットで有名なんであって、バグパイプだけだったらきっと有名になってなかったと思います。

maroemon: @tinouye なるほど、他と同じなのにそれだけが突出して知られているケース、ということですね。そういうケースは、なにか特別な要因が関係してそうですし、調べると面白ろそうですね。

tinouye: @maroemon 問題を矮小化するようで申し訳ないですが、単にマーケティングとして売るという行為も、最近はやりのご当地ものやご当地グルメみたいなのも、別にそこにしかないわけぢゃない場合を考えると人工的にそれを作る方法論かも。

maroemon: @tinouye いえいえ、見落とせない視点だと思います。スコットランドのバグパイプを考えたときに、例えば「音楽の都ウィーン」という類のイメージがどう作られて消費された/されているのかという問題を連想しました。

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ので、部外者なんだけど乱入してみた。この間のキルト話とも関連があるので、以下に乱入ツイートをまとめてみました。

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個人的な推測ですが、大英帝国軍での使用の影響は大きいと思います。<バグパイプ=スコットランドの固定観念 RT @maroemon: @amekura101 それなのに、なぜスコットランドのやつだけがこんなに有名になったのか、調べたら面白そうですよね。誰かやってくれないかなあw
posted at 01:51:10

(バグパイプ=スコットランドの固定観念:続き)英国陸軍ではスコットランドのハイランダー連隊というのが幾つもあって、勇猛果敢な歩兵隊というので非常に重用されました。アフリカでの領土拡大から第一次大戦まで、エピソードに事欠きません。 RT @maroemon: @amekura101
posted at 02:08:59

(バグパイプ=スコットランドの固定観念:続き)ハイランダー連隊の攻撃はバグパイプが先頭に立ち、キルト着た歩兵集団がその後について敵陣に突っ込んでいくというスタイルでした。どんな劣勢でもお構いなし。神風攻撃歩兵版というイメージ。 RT @maroemon: @amekura101
posted at 02:13:20

(バグパイプ=スコットランドの固定観念:続き)バグパイプの音と共に現れるキルト軍団という突飛さもあってすごくインパクトが強かったらしいです。で、このスタイルで世界に版図を広げたから世界的にイメージが定着したのではないかと。 RT @maroemon: @amekura101
posted at 02:18:06

(バグパイプ=スコットランドの固定観念:続き)ちなみにバグパイプ楽隊って歴史が古いところはみんな軍楽隊だし、民間のバグパイプ楽隊も通常は軍用キルトスタイルのユニフォーム着ますね。スタンダード曲は進軍用行進曲中心。 RT @maroemon: @amekura101
posted at 02:22:49

(バグパイプ=スコットランドの固定観念:続き)そして日本の場合バグパイプ×キルト(=スコットランド)というイメージを植え付けたのは「キャンディキャンディ」だと思うんですが、あの「丘の上の王子様」もミリタリーキルト着てましたw RT @maroemon: @amekura101
posted at 02:27:06

スコットランドFAQ – 8

Twitterで「スコットランド」というキーワードの検索結果をTweetDeckのコラムに設定しておいてチェックしているのですが、サッカーワールドカップが始まると急にサッカー関係のツイートが増えました。その内容を要約すると、大体こんな流れになります。

なぜイギリスチームを「イギリス」じゃなくて「イングランド」って呼ぶの?

え、イングランドとかスコットランドとかって国なわけ?

ふーん、イングランドってのはイギリスの一部なのか。じゃあスコットランドやウェールズ、北アイルランドからはなぜ出ないの?

どうしてイギリスだけ4チームも出場できるの?不公平じゃん。

イギリスで統一したチーム出した方が強くなるだろうに、何で統一しないの?

というわけで、このあたりの事情を『スコットランドFAQ』シリーズの一環としてまとめてみたいと思います。
なお、関連した話として2年前の北京オリンピックの時に書いた「オリンピックとスコットランド」と題する記事も参考にしてください。こちらにもサッカーの話がちらっと出てきます。

なぜイギリスチームを「イギリス」じゃなくて「イングランド」って呼ぶの?

「イギリス」という日本語はThe United Kingdomという国と、その一部であるEnglandという地の両方を指して使われることがあり面倒くさいのですが、サッカー国際試合ではUnited Kingdomから4ヶ国の代表チームが出場するため、混乱を避けるためにイングランドのチームは日本でも「イングランド」と呼んでいます。United Kingdom全体を代表するサッカーチームは存在しません。

え、イングランドとかスコットランドとかって国なわけ?

スコットランドFAQ – 1に書いたとおりの事情になっています。

イングランド、スコットランド等は、英語で言うところのcountry(国土としての「国」)でありnation(国民としての「国」)でもあるのですがstate(政治国家としての「国」)ではありません。StateであるUnited Kingdom(連合王国)を構成するcountryでありnationです。連合王国ではイングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つをまとめて”home nations”と呼んでいます「国内の国」というようなイメージでしょうか。

こちらもご参照くださいませ。
「英国」と「イギリス」

ふーん、イングランドってのはイギリスの一部だけなのか。じゃあスコットランドやウェールズ、北アイルランドからはなぜ出ないの?

予選の段階では4つの代表チームが全て出場しているのですが、残念ながらイングランド代表以外はすべて予選敗退に終わりました。ちなみに4チーム全てが揃ってW杯に出場したのは1958年が最後。ウェールズはサッカーよりラグビーが盛んなお国柄で、これ以降一度もW杯に出場していません。北アイルランドは1958年、1982年、1986年大会に出場、1958年には決勝トーナメント進出を果たしています。スコットランド代表は1950年以来計8回出場したものの全てグループ敗退。スコットランドがW杯に出場した最後の年は1998年のフランス大会で、ちなみにこれは日本代表がW杯に初めて出場した年でもあります。

どうしてイギリスだけ4チームも出場できるの?不公平じゃん。

簡単に言えば、これはサッカーというスポーツが組織化された時代以来の事情によります。

サッカーの母国
イングランドは一般に「サッカーの母国」と呼ばれています。サッカーと似たような球技は日本の蹴鞠を始め古くから世界中にあったのですが、現在のサッカーはイングランドで発達したバージョンをベースにしたもので、イングランドで1863年に設立されたフットボール・アソシエーション(FA)が制定したルールに基づいているため「アソシエーションフットボール」と呼ばれています。「サッカー(soccer)」という名前は、アソシエーション(Association)の略称「Assoc」に由来しています。サッカーはまず連合王国全土に、そしてヨーロッパへ、世界へという順番で広がりました。まず連合王国内でFAに続いて各nationのサッカー協会が設立されました。FA設立の10年後の1873年にスコットランドサッカー協会(SFA)が、そして1876年にウェールズサッカー協会(FAW)、1888年には北アイルランドサッカー協会(IFA)が誕生しました。この時点ではそれぞれの協会が少しずつ違うルールで試合していたため、国際試合のためには統一ルールが必要だという話になり、1882年に4協会合同で国際サッカー評議会(IFAB)という組織を設立し、ルールを規定しました。この組織は現在でも国際サッカーのルールを規定する機関として続いています。

FIFAの登場
サッカーの人気はヨーロッパでも拡大し、やがて国際試合の運営などを行う組織が必要だとの認識から国際サッカー連盟(FIFA)が誕生します。設立は1904年。ヨーロッパ大陸の8カ国の代表が集まり、パリで設立した、ヨーロッパ主導の組織です。とはいえ当時の認識としてはサッカーは連合王国から発祥したスポーツで、本場はあちら。ルールについても連合王国の規定に従うことにし、先行の4協会がFIFAに加盟する一方、1913年にはFIFAがIFABへの参加を認められることになりました。ただし、この時にはFIFAと4協会は同じ議決権を持つという規定になっていたため、世界のサッカーの代表であるはずのFIFAの提案でも、4協会が結託すれば却下できるようになっていました。IFABにおけるFIFAの立場は、あくまで「主流4協会」に対する「その他大勢代表」という扱いだったのです。これは1958年に議決権が改定されるまで続きました。

ワールドカップ
FIFAがサッカーワールドカップを創始したのは1930年。それに先駆けてサッカーは1908年にオリンピック種目に加わっており、FIFAもオリンピックでのサッカー競技運営には参加していたのですが、アマチュア限定というオリンピックの足かせのため真の世界トップを決めるには不足という認識から、FIFA独自の国際大会を設立するに至ったのです。FIFAに加盟する各国サッカー協会の選出した代表チームが戦うという形なので、もちろん最初から連合王国からは4代表チームがそれぞれ出ました(ただし、1950年以前のワールドカップには連合王国4協会の代表は参加していない)。政治的な国の境界線とサッカー協会の枠組みが不一致なのは連合王国に限ったことではなく、国連加盟国の総数は192カ国であるのに対し、FIFA加盟協会数は208。例えば台湾、香港、パレスチナなど、政治的には「国」ではないが代表チームを出している国があります。

FIFA、特にアフリカ諸国の協会を中心にして、「連合王国4チーム体制は不公平、統一すべき」という声は過去にも出ています。しかし4協会は頑としてこの圧力に反対し、19世紀から続く現体制を維持してきました。

イギリスで統一したチーム出した方が強くなるだろうに、何で統一しないの?

イングランドが「サッカーの母国」であり、連合王国の4つのnationがサッカー普及の源流だったことを忘れてはいけません。スコットランド出身でリバプールFC黄金時代の名マネージャーとして名声を博したビル・シャンクリーは言いました。

“Some people think football is a matter of life and death. I assure you, it’s much more serious than that.”

(サッカーを生死に関わる問題だという人もいるがね、馬鹿を言っちゃいけない。サッカーはもっともっとずっと重要な問題なんだ)

世界初のサッカー国際試合は1872年。対戦したのはスコットランド対イングランドでした。それ以前にも「イングランド対スコットランド」戦という試合は行われていたのですが、スコットランドチームの実態はイングランドでプレイしていたスコットランド人の集まり。そこで真のスコットランドチームとイングランドという対決をやろうということになってこのカードが実現したのです。当時はまだスコットランドサッカー協会も設立されていない、いわばサッカーの黎明期。が、後発組で劣勢と思われたスコットランド代表はホームゲームの利と、選手全員を同一クラブから選出するという戦略で意外な強さを見せ、惜しくも勝利を逃して引き分けという結果に持ち込みました。19世紀後半といえば、18世紀にへし折られた民族のプライドを取り戻そうというナショナリズムがスコットランド全体で高揚してきていた時期。果敢な戦いぶりを披露したこの試合はスコットランド人にとって大きなインパクトを残したのです。以来スコットランドにとってはイングランドは永遠のライバル。一緒にやった方が強いなんて発想は最初からありません。それは例えばカナダのアイスホッケーチームに対して「チームUSAと合併したら無敵なのに」と言うのと同じこと。合併などするならそれこそ死んだ方がまし、というまさに「生死より重要な問題」なのです。

この「連合王国サッカーチーム」問題は、2012年のロンドンオリンピックに向けてまた浮上しました。これまで連合王国ではこうした事情からオリンピックのサッカーにはチームを出してこなかったのですが、さすがに主催国のお国芸なのに出場なしというのはまずいだろうという声が高まったのです。が、もし統一チームの前例を作ってしまったらFIFAからまた4協会統一への圧力が高まるのは必至と考えるスコットランドサッカー協会は猛反対。ウェールズ、北アイルランドの協会も反対の姿勢をとり、国民の声もこれを支持しました。結局、「スコットランド・ウェールズ・北アイルランドはこれまで通りオリンピックのサッカーには関与せず、統一チームを組織することもしない。ただし、イングランドが「連合王国代表」という名の下に単独で出場することは阻まない」という合同声明が出て、事態は一応の決着を見ました。

逆にスコットランドで「オリンピックにもスコットランド独自チームを出したい」という声があることは、「オリンピックとスコットランド」にも書いた通りです。

もしイングランドのFAがFIFAからの圧力に同調して4協会合併を図ろうとしたり、政府が統一を勧告するような事態が今後出てきたらどうなるか?おそらくこれは政治問題に発展するはずです。スコットランドには自治議会があり、その与党はスコットランド独立を党是に掲げる民族主義の政党。前回の選挙ではごくわずかな得票数差で勝利したものの過半数には遠く、連立も結局しないまま少数政権でやってきましたが、サッカーの独立喪失という事態が出てきたら、次の選挙では大勝することが予想されるでしょう。そうなればサッカーにとどまらず国家独立に向けて動き始めるのは確実です。たかがサッカーがきっかけで国が独立、なんて日本人の目から見たらあり得ないかもしれませんが、忘れてはいけません。スコットランド人にとって「サッカーは生死より重要な問題」なのです。

スコットランドFAQ – 7(キルトの話のツイートまとめ)

Twitterの会話でキルトの話が出ていたので乱入して延々と語りつぶやいてしまいました。ちょうどキルトについての本の企画が進行中なので、ネタメモ代わりに記録を残しておくことにしました。会話の端緒は、「スコットランド人カップルが連れ立って歩いているのを見たが、男性はキルト姿だけど女性の方は普通のスーツ姿」という話。というわけで、スコットランドFAQ・キルト編です。

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キルトはスコットランドでは普通に礼服扱いだから、男性キルト、女性は普通の(でもドレッシーな)洋服って割と当たり前な感覚です。 RT @okok_o: @mogyayome スコットランド伝統衣装ではないという意味の「普通服」でした ただしくはスーツ姿(よそいき風)。
posted at 09:59:51

特に無いんです。伝統芸能だとタータンスカートはいたりドレスにタータンサッシュかけたりするけど、あとは男性キルトでも、女性はドレスコードに合わせた洋服が普通。 RT @mogyayome: @okok_o そう言えばスコットランドの女性用衣装って何も印象に残っていない気が…
posted at 10:07:36

でもヨーロッパでは特に民族衣装と呼べるものがない国が多いですよね。逆に独特の民族衣装があって今も普通にそれを着るという国の方が珍しいかも。キルトはけっこう特殊事情もあるし。 RT @mogyayome: @yunod 特にないというのは驚きでした。なんだか非対称ですね。
posted at 10:22:23

キルトの特殊事情: キルトはもともとスコットランドの民族衣装ではなくハイランドの民族衣装。しかも英国を震撼させた1745年のジャコバイト反乱後、キルトの着用は法律で禁止令された。
posted at 10:37:58

キルトの特殊事情(続き): 禁止令で唯一除外されたのが軍でのキルト着用。反乱でも示されたハイランダーの勇猛さが注目され、軍組織への取込みを図った。その際「軍ではキルト着ていいよ」が釣りになった。
posted at 10:44:32

キルトの特殊事情(続き): ハイランドが徹底弾圧を受ける中、ハイランダーとしての誇りを持って行動できる場として軍が提供された。現在のキルトはこの軍服の流れを汲んでる。
posted at 10:48:38

キルトの特殊事情(続き): 一方キルトをスコットランド全体の民族衣装に変えた立役者は作家ウォルター・スコット。UK体制下でスコットランド文化復興に熱心だったスコットは、キルト禁止令解除をきっかけに南部でのキルト普及を図った。
posted at 10:52:58

キルトの特殊事情(続き): 1822年の国王訪スコのイベント演出を担当したスコットは、なんと国王にド派手なキルトを着せ、ハイランドをイメージしたパレードをエディンバラで実行した。
posted at 11:00:09

キルトの特殊事情(続き): 国王のキルト姿は当時のメディアで散々揶揄されたものの、スコットの狙いは成功し、その後「キルトはスコットランドの民族衣装」という意識が定着していった。礼服としてのキルトの起源はこの辺りにある。
posted at 11:05:56

ちなみに「クランのタータンでキルトを作って着る」ってのはそれよりさらに後世に生まれた伝統で、布地屋がたくさんの「クランタータン」を創作したw
posted at 11:09:20

あ、ちなみに今度キルトに関する本を共著します。私はこの手の薀蓄担当w 出るのは来年になりますがよろしく〜♪
posted at 11:11:41

人気画家による肖像画→ http://bit.ly/apaIEs / 実物により忠実らしいカリカチュア→ http://bit.ly/a0MtKr RT @Ckis: うわーなんか見てみたい。かっこよさそう。RT @yunod: スコットは、なんと国王にド派手なキルトを着せ…
posted at 12:28:10

肖像画の色は実物よりかなりトーンダウンしてるらしい。おまけにピンクのタイツ履いてたらしいw RT @yunod: 人気画家による肖像画→ http://bit.ly/apaIEs / 実物により忠実らしいカリカチュア→ http://bit.ly/a0MtKr RT @Ckis
posted at 12:31:10

スコットランドFAQ – 6

Maratさんという方から質問をいただきました。

こんにちは。
スコットランドに留学しようと考えている者です。

質問なのですが、エッセイによるとスコットランド訛りは
好感度が高く、評判がいいとのことですが、それはスコットランドの
どの地方の訛りを意味しているのでしょうか?

また、スコットランドの地方それぞれの訛りの特徴は
どのような感じなのでしょうか?

ご教授お願いします。

ご質問にあるエッセイというのはこちらですね。

エッセイ・ふだん着のスコットランド
5章 スコットランド人って何だ? ~ 標準スコットランド弁

方言が特定の印象を喚起される、というのは日本語でもありますよね。例えば大阪弁を聞くと自動的に吉本芸人とか大阪のおばちゃんとかいったステレオタイプのイメージが喚起されて、なんとなく「大阪弁をしゃべる人」=「がさつ」といった先入観がついつい入ってしまう、でも同じ関西方言でも京都弁の場合はおっとりと上品なイメージがある、という具合。英国内のアクセントについても同じように無意識に固定されたイメージがあるようです。さらに英国では階級によるアクセントの違いというのもあって、いわゆるオックスブリッジアクセントや「クイーンズイングリッシュ」は一般大衆にとっては「上品で知的」ではなく逆に「すまし返って偉そうな感じ」といったネガティブな印象を与えることもあります。で、各種アクセントについて人々がどんな印象を受けるかという研究調査を行ったところ、スコットランド訛りの人からは「温かみがあって信用できそうな印象」を受けるという結果が出たのだそうです。この結果については、特にスコットランド内のどのアクセントという厳密な区分はしていないようです。確かにひとくちにスコットランド訛りといっても地域や階層によりいろいろなアクセントがあります。が、平均的、標準的な、あまり地方色の強くないスコットランド訛り、というものは存在します。

BBC Scotlandのニュースキャスターの例


政治家の例

温かくて信頼できる感じ、するでしょうか?

スコットランド方言全体に当てはまる特徴については以下のページも参照してください。
http://en.wikipedia.org/wiki/Scottish_English
(英語ページ)
※日本語ページもありますが(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%83%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E8%8B%B1%E8%AA%9E)、今のところ書きかけ状態で、英語版ほど詳しくありません。

次にスコットランドの地方それぞれの訛りの特徴ですが、言葉で説明するのも難しいので、例を拾ってみます。違いがわかるでしょうか?

ただし、同じ地域の出身の人でも階級差によるアクセントの違いや世代間での違いが存在し、また上記の例も知人同士の会話を録音しただけの非常に聞きにくいものと、カメラを意識してわかりやすく話しているものが混在していますので、この地方では誰もがこのように話しているということではありません。あくまで参考例ということで。

Stranraer: 南西部

Glasgow: 西部

Edinburgh: 南東部

Fife: 東部

Dundee: 中部

Aberdeen: 北東部

Highlands: 北西部

なお、最初のStranraerの人の話は私もさっぱりわからないです(苦笑)。
EdinburghとHighlandsの若い人の録音は聞きやすいと思います。ちなみにEdinburghの人は「グラスゴーの不良少年の話し方の真似」というビデオも作っていて(http://www.youtube.com/watch?v=ewo0HwyND-c)、こちらは同じ人が普通に話しているビデオに比べて格段にわかりにくいと思います。比べてみてください。(でも本人はグラスゴー訛りをまねしたつもりでもやっぱりエディンバラ訛りの不良少年になってる・・・(笑)。)
個人的には、Fifeのヒゲのおじさんの話し方は前のダンナのお父さんの話し方とすごく似ていてとても懐かしく感じました。

スコットランドFAQ – 5のおまけ

そういえば、数年前に鉄道でウェストハイランドのモーラー(Morar)に行った時の事。
グラスゴーからモーラーまでの長い道中で、近くに座っていた若いカップルが、おもむろに取り出したのはValvona & Crollaの袋。エディンバラの有名なデリカテッセンです。私たちと同じく、エディンバラから来ていたのでしょう。袋の中から出てきたのはおいしそうなバゲット、スモークサーモン、クリームチーズ、生ハム、サラダ、そしてシャンパンのボトルとプラスチックカップ。2人は列車の座席でおもむろにサンドイッチを作り、シャンパン片手に優雅な車中食を始めたのでした。あれ、おいしそうだったなあ。こちらはグラスゴーの駅の売店で買い込んだサンドイッチをかじりながらじろじろ眺めるばかりでした。

いっそデリとかでいろいろ買って食べる、というのもありかもしれません。Valvona & Crollaの他、Peckham’s(こちらはグラスゴー・エディンバラに数店あり)もなかなかおいしそうなものを売ってます。有名どころのほかにも小さなデリなどあちこちにあります。また、パン屋さんなどでもけっこうおいしいところがいろいろあるので使えそう。

スコットランドFAQ – 5

スコットランドFAQを続けます。
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スコットランドの水は飲めますか。

水道水を飲んでも大丈夫です。軟水なので日本人にも違和感はないと思います。地域によっては水道水がとてもおいしいところもあります(水源がいい)ので試してみてください。なお、ハイランドや離島に行くと、水道水が茶色く濁っていてびっくりすることがありますが、錆や泥ではありません。泥炭地質なので水が泥炭を透過する際に色がついてしまうのです。清流の水もこの色です。スコッチウィスキーづくりに使われる水でもあり、水質には問題ありませんので安心してください。

スコットランドは食事がまずいと聞いたので不安です。

スコットランドでもおいしいものはおいしいのですが、当たり外れがけっこうあるのは確かでしょう。

エディンバラとグラスゴーについては、The List誌(日本の「ぴあ」やロンドンの「Time Out」のような雑誌)が年に1度別冊として”Eating & Drinking Guide”を発行していて、我が家ではこれを毎年買って外食のバイブルにしていました。レストランは料理タイプ別のカテゴリーに分類され、高級レストランだけでなく、パブの食事や博物館・劇場などのカフェ、テイクアウトの店までカバーしています。各カテゴリーについて”Hit List”というおすすめのお店のリストがついているのが便利。別冊を買うと6ポンドくらいしますが、オンライン版もあります。
http://www.list.co.uk/eating-and-drinking/

エディンバラ・グラスゴー以外の地域については、The Listの別冊にも車で気軽に行ける範囲内でいくつか掲載されてはいるものの、数が少ないです。基本的には、地元の人に聞いてみる、というのが外れクジを避けるにはいちばん確実な方法でしょう。夕食を出さないB&Bなどでは、聞けば教えてくれると思います。レストランつきのホテルだと嫌な顔されるかもしれませんが。

個人的な印象としては、

  • ショッピングセンターのセルフサービスレストランや駅のカフェなど一人で気軽に入りやすい食事処はたいていまずい
  • フィッシュ&チップスは店による当たり外れが大きいので地元の評判を聞くべき。あるいは行列になっている店を狙う(行列がない場合揚げたてでなく作り置きになっていてまずいことが多い)
  • マクドナルドは信じられないほどまずいので、どうしても国際チェーンのハンバーガーを食べたいならバーガーキングにすべき
  • インド料理・タイ料理は比較的外れが少ないと思う
  • イタリアンもまあまあいけることが多い気がする
  • スコットランドのフィッシュ&チップス店はイタリア系住民が経営していることが多く、ピザもやっている場合がある。そういう店のピザはわりとおいしいことが多い
  • 中華はけっこう外れがある(特にtakeaway)
  • ケーキ(生菓子)類は外れが多い。スコーンやパウンドケーキなどの焼き菓子の方がおいしい
  • スコットランドの日本料理には期待しない方がいい

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スコットランドFAQ – 4

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スコットランド旅行でお奨めの行き先は?

どんなものに興味があるのか、スコットランドの何が魅力で行くのかによってもちろん違ってきます。
また、私が行ったことがない場所も多いので、スコットランド全土をくまなく旅した結論としてこれをお奨めする!というようなお奨めはできないのですが、以下に私にとってのお奨めを挙げてみます。

エディンバラ (Edinburgh)

スコットランドの首都にして玄関口。これはやっぱりはずせないでしょう。私自身エディンバラの住民だったわけですが、住民から見てもエディンバラは魅力的な町です。首都といっても小さな町なので、中世から続くオールド・タウンと、18世紀の都市計画によって誕生したニュータウン、ふたつの町並みのコントラストを徒歩で歩き回って感じてみてください。8月のフェスティバルシーズンには国内外から観光客が大挙して訪れ、宿を取るのが非常に難しくなります。この時期の訪問を考えている方、宿の確保はお早めに。

スターリング (Stirling)

ここも私が住んでいた町、スコットランドでの最初の1年を過ごした町でもあるので特別な愛着がありますが、それを抜きにしても魅力のある歴史の街です。エディンバラをふた回りくらい小さくしたようなイメージですが、お城はこの町の方が魅力的だと個人的には思っています。

セント・アンドリューズ (St Andrews)

言わずと知れたゴルフの聖地で、ゴルフ好きならもちろん必ず訪れたい町ですが、ゴルフになんか興味ないという人にもお奨めしたい魅力のある町です。エディンバラからは日帰りで手軽に行ける距離ですが、ファイフの海岸沿いの小さな町や村を回りながらの1泊旅行として行くのも良さそう。

トロサックスとメンティース湖 (The Trossachs and Lake of Menteith)

ハイランドに行かずに手軽にハイランド気分を楽しめるのが、2002年に国立公園になったトロサックスエリア。エディンバラ、スターリング、グラスゴーから日帰りで手軽に行ける距離です。観光客に人気のハイランド牛は、ハイランドよりもトロサックスの方がたくさんいる気がする・・・。トロサックスと言えばアバフォイルあたりからカトリン湖を中心としたエリアですが、寄り道できるならメンティース湖もお奨め。スコットランドで唯一ロッホ(Loch)ではなくレーク(Lake)という呼称がついているこの湖、中に浮かぶ小島にボートが出ていて、教会の廃墟を見ることができます。

ローモンド湖 (Loch Lomond)

歌にも歌われるローモンド湖は、表面積ではスコットランド最大の湖(水量ではネス湖に次いで2位)。グラスゴーからドライブに行くのに手ごろな距離なので、天気のいい日には、西側(ダンバートン側)の道は車で大渋滞します。私のおすすめは湖岸東側(スターリング側)。西側と比べて道路がよくないのですが、その分手つかずな自然が感じられ、のどかさを楽しめます。車道は途中で終わってしまいますが、歩道が続いています。

ダンケルド (Dunkeld)

スコットランドの中央部でハイランドの玄関口とも言えるパースシャーは、スコットランドの魅力が詰まったエリア。「歴史のある町・エリア」はスコットランド中にたくさんありますが、ここの歴史はピクト人時代までさかのぼり、中世の町エディンバラやスターリングとは違う顔を持っています。ダンケルドの町の中心にある大聖堂も見どころですが、この町に来たらぜひウォーキングにトライしてください。川沿いのコース、森の中に入っていくコースなどたくさんのウォーキングコースが設定されていて、ウォーキングマップ(インフォメで入手)を見ながら標識を辿っていくだけでパースシャーの自然が満喫できます。お奨めはHermitageコース。

オークニー諸島 (Orkney Islands)

スコットランド本土の北に位置するオークニー諸島は、15世紀にスコットランド領になりましたがそれまではノルウェー領で、バイキング時代の伝統が今も残っている土地です。また、石器時代の遺跡がたくさんあり、考古学好きにも魅力的なエリア。私はオークニー本島しか行っていませんが、オークニーは大小あわせて70以上の島々から成り、そのうち20ほどが有人島。時間に余裕があるなら、本島以外の島々も訪れてみてください。

アイオナ島 (Isle of Iona)

スコットランドの心のふるさとアイオナ島は、スコットランドの西海岸沖、インナーヘブリディーズ諸島のひとつで、マル島の近くにあります。スコットランドにキリスト教を伝えた聖コルンバが最初に僧院を開いた土地で、ケルト的キリスト教の歴史が色濃く残るこの島には、今も各地から人々が集まり、キリスト教に根ざした「アイオナ・コミュニティ」の活動に参加しています。また、僧院の墓地には代々のスコットランド王が眠っています。小さな島ですが、不思議と心にしみる風景があります。

グレンコー (Glen Coe)

道がいいのでスコットランド南部からでも車で比較的簡単に行くことができるハイランド名所。レンタカー無しの旅ならグラスゴーからバスがあります。悲惨な殺戮の場となった悲劇の地でもありますが、ハイランドの美しい自然を存分に楽しめます。ウォーキングのメッカですが、本格登山や、冬にはスキーもできます。

アロウェー (Alloway)

スコットランド南部は全体に車がないと行きにくい場所が多く、私は行っていないところが多いのですが、なぜか何度も訪れているのがロバート・バーンズの故郷アロウェー村。グラスゴーから鉄道とバスを乗り継いで行くことができます。バーンズが書いた詩「タム・オ・シャンター」に出てくる風景が、そっくりそのまま残っています。

その他番外編

・グラスゴー (Glasgow)

中村のセルティック移籍以来、訪れる日本人も増えたというグラスゴー。昔は重工業の町で、工業撤退とともに沈滞していた町ですが、近年の努力でおしゃれなショッピングのメッカとして大変身を遂げつつあります。意外と(?)見どころもいろいろあるし、下町気性のグラスゴーっ子をピープルウォッチングするのも一興?

・スカイ島 (Isle of Skye)

ダンナに「スコットランドでお奨めのところを3つ挙げてみて」と聞いたら、エディンバラ、ダンケルドと並んで出てきたのがスカイ島。実は私この島とは相性が悪くて(私が近づくと天気が大荒れになる)未だにまともに見て回ることができていないんですが、西ハイランドの魅力が詰まった島(だそう)です。

・メルローズ (Melrose)

私は行ったことないんでコメントできないんですが(すいません)、スコットランド南部の名所のひとつ(だそう)です。ボーダー地方には有名な寺院(Abbey)が点在しており、メルローズ寺院は中でも必見(だそう)。また、時間があるならドライブ、サイクリング、ウォーキングなどによる寺院巡りにもトライしてください。

スコットランドFAQ – 3

スコットランドFAQを続けます。
なお、スコットランドFAQに掲載してほしい質問がありましたら、質問募集の投稿にコメントとして送ってください。お待ちしています!

冬のスコットランドを旅行してみたいんですが。

あまりおすすめできません。
前回のFAQでお勧めはサマータイム期間、と書きましたが、その理由として挙げた点がそのまま冬をお勧めできない理由になります。

1) この時期は日が短いので、いろいろ見て回るのに不便。
2) 観光のオフシーズンなので、特に田舎ではアトラクションが閉まっていることも多く、観光オプションが限られてしまう。

冬至の頃のスコットランドでは、日の出が午前9時過ぎ、日没は午後3時半くらいです。まともに明るい時間はもっと短くなるし、天気が悪い場合は明るい時間なんかないということもあります。真っ暗な中を雨風に吹きさらされて観光しても楽しくもなんともないし、行ってみたら閉まっていたなんてことになったら踏んだり蹴ったりです。冬にだって晴れる日ももちろんありますが、晴れていても日は短いですから、それを楽しむことができる時間ははるかに減ります。

なお、どうしても冬の旅行をご希望する方は、冬と夏で交通機関のスケジュールが変わりますのでチェックするようにしてください。B&Bも冬季休業のところが多いので、事前予約したほうがいいです。また、山間部では天気が変わりやすく、悪天候では低山でも遭難者が出ることがあります。十分気をつけてください。

スコットランドではどのくらい雪が降りますか。

雪は多くありません。関東地方と変わらないのではないでしょうか。日本の豪雪地帯とは比較になりません。山間部はもちろん平野部よりは雪があり、スキーができるところもありますが、そういうところでも冬の間中ずっと雪があるわけではありません。雪が多くない土地の常で、雪が降ると交通が大きく影響されます。冬の旅行の場合、移動計画は余裕を見てください。

スコットランドでクリスマスを過ごしたいと思っています。

スコットランド(英国全てそうですが)のクリスマスは、日本のお正月のようなものです。スコットランド人のほとんどは家族と一緒にクリスマスを祝います。日本の正月と違うのは、そのためスコットランドではほぼ全てが閉まってしまうこと。鉄道もバスも全休、お店も(パキスタン系の人がやっている小さな店を除いては)休み、レストランも営業しているのはわずかで、事前予約必須。当然観光施設も全て休みだし、B&Bも大体休み。したがって、クリスマスのスコットランドでできることといったら、大きなホテルの食事つき「クリスマス宿泊パック」で泊まって、人っ子ひとりいない通りを散策することくらいです。車がなければ町から出ることすらできません。タクシーも予約必須、料金は普段の倍です。

エディンバラでは毎年クリスマスマーケットが出たり、クリスマスイベントがいろいろ行われますが、それは全てクリスマスのイベントであり、イブの日までで終わりです。クリスマスそのものには何もなく、クリスマス休みが終わってから今度は大晦日の年越しイベントプログラムに入る、という形になります。したがって、スコットランドのクリスマスを楽しむには、12月中旬から24日までの時期を狙うか、27日以降に入って年越しイベントに参加するかどちらかにし、25~26日は避けた方がいいと思います。なお、交通機関が止まってしまうのはお正月も同じですが、レストランなどはクリスマスよりも開いているところが多いようです(年越しイベントに来ている客狙いと思われる)。また、クリスマス・正月の全面運休前後は交通機関の運行スケジュールが大幅に変更されます。クリスマス直前などはかなり込み合うので気をつけてください。

スコットランドFAQ – 2

スコットランドFAQを続けます。
なお、スコットランドFAQに掲載してほしい質問がありましたら、質問募集の投稿にコメントとして送ってください。お待ちしています!

スコットランドに行くのにいちばんいい時期はいつですか。

サマータイムの期間中に行くことをお勧めします。
ヨーロッパでは3月の最終日曜日から10月の最終土曜日までがサマータイムとなっています。。
スコットランドを含む連合王国の日本との時差は、冬季は9時間ですがサマータイムの期間中は8時間になります。
なぜサマータイムを勧めるのかという理由は2つあります。

1) この時期は日が長いため、いろいろ見て回りやすい。

参考までに、スコットランド各地の月別平均日照時間グラフを示します。
平均日照時間 - UK気象庁データ
ちなみに東京の場合、平均日照時間は雨が多い6月と10月を除くと、年間大体いつも月140~180時間くらいになっているようです。
(参考資料:http://www.jma.go.jp/jma/kishou/camp/0206.pdf
スコットランドでの夏と冬の日照時間の差は、天気の影響もないわけではありませんが、基本的には日の出から日の入りまでの時間の差によるものと考えてけっこうです。

詳しくはこちらも読んでみて下さい。
ふだん着のスコットランド:もっと光を!

2) 観光シーズンなので、アトラクションが閉まっているといった心配もなく、いろいろ観光できる。

※なお、年によってサマータイム開始がイースターの後になる場合、同じ週末の場合、前になる場合とありますが、サマータイムの方が先に来る場合はイースター後まで待つことをお勧めします。イースター週末から営業を始めるアトラクションというのがけっこうあるからです。

雨が降らない/天気が良い/気候が良い時期はいつですか。

特に決まっていません。サマータイム期間内の方が一般にサマータイム外より気温も高く、日照時間も長いですが、行った時に天気が良いかどうか、雨に降られるかどうかは全く運次第だと思ってください。

なお、「サマータイム」という名前はあくまでも時計が「夏時間」にセットしてある、というだけの意味であり、この期間が夏だ、ということではありません。スコットランドの夏はいつ頃か、というのも難しい質問で、陽気がいい時期、というのがあまりはっきりしていないのです。基本的にスコットランドでは、夏というものは「終わってみて初めていつだったのかわかるもの」となっています。日が長い6~7月頃がいちばん気温も高そうですが、必ずしもそうはならないようで、4月頃がいちばんいい陽気で、その後は10月頃までずっと天気が悪くて寒かった、という年もあれば、9月が夏日続きだった、という年もあります。確実に言えるのは、サマータイム以外の期間に夏が来ることはない、ということだけです(日が短すぎて気温が上がらないから)。

詳しくはこちらも読んでみて下さい。
ふだん着のスコットランド:スコットランドは寒いのか?

なお、スコットランドでは大体において、西北に向かうほど雨が降りやすく、南東に向かうほど雨が少ないという法則があります。これは、偏西風が大西洋で湿った空気を拾い、スコットランド西海岸の陸地に着いたところで雨として落としていくためで、特に北西部は山がちなので雨が降りやすくなっているのです。従って、時期よりも行き先を考慮した方が、雨に降られる率を下げることができます。ところが、全国的に天気が良い時には、気温は西側の方が上がりやすい、という傾向もあります。これは、スコットランドの西側が暖流に面しているのに対し、東側では北海の寒流が天然の冷房の役割を果たしているせいだと思われます。さらに、北海側(東側)では気温の上昇と共に北海から霧が発生しどんよりとした天気になってしまう、Haarと呼ばれる現象が起きることもあります。そういう意味では、天気に恵まれた旅をするためにはスコットランドの中央部あたりを狙ってみるのが賢明策かもしれません。

スコットランドFAQ – 1

しばらく前に予告したスコットランドFAQを、まずはブログ上で始めることにしました。
というわけで第一弾です。

スコットランドってどこにあるんですか?

地図を見てください。ここをクリックすると地図が開きます。マーカーが立っているのがスコットランドです。

下の地図の赤く塗ってある部分がスコットランドです。
スコットランド(Wikipediaより)

スコットランドってイギリスじゃないんですか?

あなたにとって「イギリス」とは何かによって(*1)答えは違います。
(1) イギリス=England?
(2) イギリス=United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland?

*1: 「英国」と「イギリス」の項も参照してください。

(1)の場合、答えは「ノー」です。スコットランドは「イングランド」とは別の国です。
(2)の場合、答えは「今のところはイエス」です。スコットランドは「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国(以下連合王国と略す)」の一部です。イングランドも同じです。ただしスコットランド議会では独立を目指す政党Scottish Nationalist Partyが2007年の選挙で与党となったため、今後スコットランドが連合王国から独立することもあり得るかもしれません。そうなったらこのFAQの答えももっとシンプルになりますね。

スコットランドって国なんですか?

なかなか微妙な質問です。スコットランドは英語でCountryと表現されます。この単語を辞書で引くと、「国」という定義が載っているはずです。また、スコットランドはよく”Stateless Nation”と呼ばれます。「Stateの無いNation」ということになりますが、StateとNationという単語を辞書で引くと、ここでも両方とも「国」という定義が載っています。「国の無い国」では何のことだかわかりませんが、Stateという単語は政体としての国、国家のことを意味します。Nationという単語は人の集合体としての国、民族のことを指します。Countryは地理的なエリアとしての国です。スコットランドはCountryでありNationでもあるが、Stateではない、つまり国土および民族という面から考えたときには国として存在しているのだが、国家ではないという状態にあるわけです。ちなみにスコットランドは1707年までは国家としても存在していました。が、1603年以降は隣国イングランドとスコットランドという2つの王国を同じ王家が治めるという状態になっていたことから、1707年にスコットランド議会が解消され、両国の政体が統一されて連合王国が誕生し、「国家スコットランド」は消えてしまったのです。

そういう事情で過去約300年は「国家ではない国」状態だったスコットランドですが、1999年にはスコットランド自治議会が誕生し、その議会で2007年にはスコットランド独立を党是に掲げる党が政権に就いたという近年の流れを見ると、「国家ではない国」状態が解消され、独立国家スコットランドが再登場するのも時間の問題かもしれません。そうなったらこのFAQの答えももっとシンプルになりますね。