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2015年英国総選挙結果

昨日行われたUK国会総選挙の結果ですが、とりあえず分析は置いておいて、まずはスコットランドとイングランドに分けたデータを貼っておきます(画像はBBCニュースサイトのスクリーンショット)。

スコットランド

Scotland 2015

イングランド

England

最左翼にポジションを張るSNPが全票の半数を集めて議席をほぼ総なめしたスコットランド。その一方で、議席を伸ばして単独過半数を達成した保守党と得票率を大幅に伸ばしたUKIPという右翼2政党が勝ち組となったイングランド。

全く違う2つの総選挙が戦われたのだな、という感想を抱いたのは私一人でしょうか?

 

2015年英国議会総選挙とスコットランド(ツイートまとめ)

ご無沙汰しております。

今、英国では総選挙戦がたけなわです。で、さかんに世論調査のデータが発表されているのですが…

名称未設定

※ 最新の議席数予想についてはこちらを参照してください→ May2015 forecast

SNPは昨年の独立投票で敗北した後急激に党員が増え、投票前の5倍に膨れ上がりました。いまや全人口の2%はSNP党員。子供も含めてスコットランド人の50人に1人は党員ということになります。

4月13日には、スコットランド人の半数以上がSNPに投票するとの世論調査結果が発表されました。小選挙区制マジックの効果で、半数の票を集めれば9割の議席が獲得できてしまいます。ちなみにスコットランドの総議席数は59。

おまけ1:で、今年に入ってからメディアではさかんに「SNPの脅威が増大」「悪の親玉サモンドが数を頼んで労働党を操り英国を分裂させようとしている」と報じていたんですが、先日の7党首ディベートでは全国区でほとんど顔を知られていなかったSNP党首スタージョンが好印象を残したらしく。

おまけ2:ちなみに今は、Twitter検索欄に I wish と入力すると予測入力で I wish I could vote SNP がトップ表示されるという珍現象が起きています…。

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9月8日深夜のツイートまとめメモ(スコットランド独立投票について)

これもメモです。

Yuno Dinnie/杉本優@yunod

そもそも1997年の「自治を与えて独立をつぶす」方針は一定成功してて、SNPが政権とっちゃったのは労働党にとっては大誤算だったけど、政権とった時点でのサモンドSNPは、「よっしゃ―次は独立だ」という感じでは全然なかった。もちろん党内の強固な独立派が突き上げてくるから(続)

posted at 11:27:40

(承前)「自治議会で政権が軌道に乗ったら自治拡大→独立ね」とは言ってたけど、そこへ「独立ってブラフだろ、やれるものなら期日切って投票やれよ」と横槍入れてきたのはキャメロン。「現状維持・自治拡大・独立」の三択投票というSNP案を蹴ってYES/NO二択を主張したのもキャメロン。(続)

posted at 11:31:26

(承前)逃げ道を封じられて渋々YESキャンペーンを始めたものの、その時点では勝つ見込みがあるとはSNPの誰も考えていなかった。と思う。ところがYESが草の根運動化して、いつの間にかじわじわと支持を増やし始めてしまった。これを「どうせ無理無理」と傍観してたのは労働党と保守党。(続)

posted at 11:35:34

  

(承前)2007年にそれやって自治政権を奪われた経験からは学ばなかったらしい。あと、こういうの→ gu.com/p/3q2ag/tw もじわっと嫌な感じ。労働党が中心で動かしてるキャンペーンなのに、お金持ちがポンと札束放ってくれるなんて保守党みたいで。というわけで(続)

posted at 12:01:03

  

(承前)第1回目のディベートではポイント取ったものの、2回目では轟沈…。ダーリングってそもそもディベートでファンを勝ち取るタイプの政治家じゃないんだよなあ。サモンドは逆にそういうの大得意だし。ダメージ受けたところでさらに…(続)

posted at 12:10:38

  

(承前)…こんなとんでもない自爆手まで打ってしまった→ gu.com/p/4x3zn/tw YES草の根は大はしゃぎ。そういう状況の中8月が過ぎ、9月第1週にまとめられたのがYouGovの調査。初めてYES/NOが僅差ながらひっくり返るという驚愕の事態に。←今ココ

posted at 12:16:39

  

個人的にはまだNOに十分勝算があると思ってますが、現在の事態を招いたのはひとえにスコットランドを(それぞれ異なる意味で)なめきっていた保守党と労働党にあるという気はするし、今頃パニクって変な手を打ったら逆効果になる可能性も大だと思うし、本気なら真面目にやってくださいよと言いたい。

posted at 12:21:33

  

以上、「もし自分が今スコットランドに住んでたらどっちに票を入れているか」という問題はとりあえず置いておいて、個人的な印象をまとめてみました。ではおやすみなさい。

9月8日会話ツイートのまとめメモ

 メモです。

スコットランドが独立した場合、労働党が深刻なダメージ受けるとか言われてますね>RT

Yuno Dinnie/杉本優@yunod

@westinghouse565 最新の全国世論調査では労働党支持がリードしていて、このまま行けば次の総選挙で労働党が政権奪回するはずだが、スコットランドの数字を除外すると保守党が勝つとのこと。大票田のスコットランドを失ったら労働党万年野党時代が到来すると言われています。

posted at 22:47:25

@westinghouse565 まあそもそも今回の独立投票実施はSNPが自治議会で比例代表制下ではあり得なかったはずの絶対多数を獲得したからであり、そうなったのは労働党が「スコットランドでは何もしなくても票が取れる」という状況に慢心して足元の地盤をケアしなかった結果なのですが。

posted at 22:50:52

これまでの二大政党制の枠組みが完全崩壊しかねないですね。。

Yuno Dinnie/杉本優@yunod

@westinghouse565 ただ、前回の総選挙で二大政党のどちらも過半数を獲得できず保守・自民連立政権という事態になったことを考えると、スコットランド問題がなくても二大政党制は崩れつつあるのかなとも思います。UKIPの勢いもすごいし、英国政治の枠組みが変動してきた感じ。

posted at 22:55:03

@westinghouse565 @yunod まあ世界的に左派政党は勝てなくなってきていますからね。

Yuno Dinnie/杉本優@yunod

@oricquen @westinghouse565 スコットランドは今も昔も左派の牙城ですけどねー。SNPが労働党を抑えてスコットランド政権を獲得したのも、「労働党よりも左」という姿勢を打ち出してきたことが最大の理由です。

posted at 17:31:32

@yunod @westinghouse565 辺境部が左派の牙城になるのは、日本で言うと北海道、沖縄のケースに近いイメージでしょうか?北海道の牙城は既に崩れていますが。

辺境部だからと言うより自治拡大を求めているから。そのため英国では(イングランドを除く3国の場合)いわゆるナショナリスト政党が左派。RT @oricquen 辺境部が左派の牙城になるのは北海道、沖縄のケースに近いイメージでしょうか?@yunod @westinghouse565

@midoriSW19 @yunod @westinghouse565 中央から独立を目指すローカルナショナリズムは、中央ナショナリズムに対峙するので左派扱いされる感じでしょうか?実際に独立したらそれがそのまま右派になる気もしますが

Yuno Dinnie/杉本優@yunod

@midoriSW19 @oricquen @westinghouse565 ナショナリズムは要因ではないと思います。スコットランドで伝統的に左派が強いのは、人口の集中しているセントラルベルトが石炭・鉄鉱・造船を主産業とする絵に描いたような重工業地帯だったことが第一の要因。(続)

posted at 18:10:56

 

@midoriSW19 @oricquen @westinghouse565 (承前)だから組合組織度が高かった。70〜80年代には炭鉱も製鉄所も造船所もバタバタ閉鎖され、サッチャー政権下ではこの地域は失業率・貧困率が全国でも突出する、産業構造転換負け組になりました。(続)

posted at 18:17:53

 

@midoriSW19 @oricquen @westinghouse565 (承前)この頃のSNPはまだタータントーリーのイメージが強く、左派政党ではありませんでした。SNPの左傾化が顕著になったのは確か1992年の選挙以降で、特にブレア労働党時代に入って加速しました。(続)

posted at 18:27:41

  

@midoriSW19 @oricquen @westinghouse565 (承前)スコットランドの労働党支持者にとってスコットランド人のスミス労働党党首は希望の星だったのですが、スミス急死後党首になったブレアは、イングランド南部の票を狙って労働党右傾化を推し進めました。(続)

posted at 18:32:17

  

@midoriSW19 @oricquen @westinghouse565 (承前)この結果、スコットランドの伝統的労働党支持基盤は期待を裏切られる形になりました。同時期にSNPではシラーズ等の左派が勢力を強め、SNPは「労働党より左」を前面に出すようになったわけです。(続)

posted at 18:37:45

  

@midoriSW19 @oricquen @westinghouse565 (承前)もうひとつの要因としては、宗教的・文化的背景も注目して良いかもしれません。スコットランド国教会は長老派系のプロテスタントで、教会離れが進む今もスコットランド人の価値観を支えています。(続)

posted at 18:42:20

  

@midoriSW19 @oricquen @westinghouse565 (承前)スコットランド人は平等志向が強く、勤勉に働くのは良いがそこから得た富をひけらかすのはよくないという感覚があり、Greed is Goodというサッチャー的価値観は受け入れがたいのです。(続)

posted at 18:51:40

  

@midoriSW19 @oricquen @westinghouse565 (承前)サッチャー政権下では、スコットランド内でも元来保守党支持だったエリアで保守党離れが進みました。行き先は自由民主党だったりSNPだったり。いずれもブレア時代には「労働党よりも左」に移行した党です。

posted at 18:54:59

  

@midoriSW19 @oricquen @westinghouse565 長々と失礼しました。北海道や沖縄との比較については、北海道や沖縄の政治事情に知識がないので何とも言えません(汗)。いずれにしても、「民族意識の高揚」的な文脈を当てはめるのはちょっとずれてるかなと。

posted at 18:58:39

2014年4月20日発表の世論調査結果(ツイートまとめ)

あとでまとめて何か書くつもりですが、とりあえずメモとしてツイートまとめておきます。

Scottish independence poll:Yes on brink of victory – The Scotsman:

 

Scottish independence poll:
最新調査結果はNo 42%、Yes 39%、DK 19%。DK除くとNo 52%、Yes 48%。今回はスコットランド在住イングランド人の回答を分けて出してるのが新しい。初めて?

 

Scottish independence poll:
イングランド人はNo 58%、Yes 28%。スコットランド人はNo 40%、Yes 42%。この結果自体がYesキャンペーンの追い風になる可能性もあるなあ。

 

Scottish independence poll::
他にも色々面白い数字が出てるな、この記事。「No回答者の10%、Yes回答者の18%は、気が変わるかもと言っている」とか「労働党投票者の24%がYesと回答」とか。

 

Scottish independence poll:
「No回答者の38%は自治の拡大を望んでいる」「No回答者の4%は、自治拡大の見込みがないならYesに転じる」というのもなかなか興味深い。両キャンペーンのこれからの舵切りに注目。

 

 より、スコットランド独立世論調査結果の推移(1) Embedded image permalink

 

 より、スコットランド独立世論調査結果の推移(2)決めていない、答えたくない等の回答を除外したYes/No限定のグラフ。 Embedded image permalink

 

まあ普通に考えれば、当日にはDKの人は大体Noを選び、心変わりした人も含めると結局Noがすんなり勝利というのがいちばんありそうなシナリオなんだけど、2007年の選挙の時にもまさかあり得ないよねーと言ってるうちにSNPが滑り込み勝利したので、どっちに転ぶかホントにわからない。

書籍紹介・「公認ガイドが語るスコットランドこぼれ話」

2012年に出版された本ですが、紹介がちょっと遅くなりました。

スコットランドこぼれ話

スコットランドこぼれ話

スコットランドには、観光ガイド協会が公認する「ブルーバッジガイド」というプロの観光ガイドがいます。中には日本人のガイドさんもいて、スコットランドで旅行した経験のある方の中には、ブルーバッジガイドさんのお世話になった人もいるかもしれませんね。私の知人の中にも元ブルーバッジガイドの人や現役で活躍している人がいます。

日本人ブルーバッジガイドさんのうち7人がそれぞれの興味や視点からスコットランドを紹介したのがこの本です。タイトルの通り、7人それぞれがスコットランドについてこぼれ話を披露するという型式になっていて、テーマもスタイルも各人各様。スコットランド各地の紹介(南部ボーダーズから北部のオークニー諸島までいろいろ)からパブでのビールの頼み方、スコーンのレシピから「ジキル博士とハイド氏」の作者と吉田松陰との知られざる関係(私も知りませんでした)まで、たくさんの小ネタが満載です。

出版元はスコットランドの出版社なので、カバーに印刷されている価格はポンド建て。ISBNのグループコードも4(日本)ではなく1(英語圏)で、装丁も日本の本とはちょっと違う印象?日本語の本でも流通上は洋書扱いなのでしょうか。書店では入手しにくいと思いますが、日本のアマゾン等で普通に購入できます。スコットランド情報ドットコムのスコットランド本紹介のセクションにも追加しておきましたので、>>こちら<<からどうぞ。

ブログ紹介:蘇格蘭独立事情見聞録

最近Twitterでフォローいただいた方のブログを紹介します。

蘇格蘭独立事情見聞録

書いているのはエディンバラ大学で博士号取得を目指し歴史学の研究をしている方。

私はスコットランドを離れてもう4年半、たまに短期の旅行で帰る程度なので、正直現地事情にだんだん疎くなっている実感があります。

現地に住んでいる方の発信する情報ということで、今後注目していきたいと思います。

【新刊書】 「スコットランド・キルト・コレクション」もうすぐ発売です

石井理恵子・杉本優共著の新刊が出ますのでご案内。

スコットランド・キルト・コレクション (制服・衣装ブックス)

新紀元社「制服・衣装ブックス」シリーズの最新刊です。フルカラーで写真満載。キルトに萌えるスコットランド好きには堪えられない一冊です。
私が絡んでるため、歴史背景の解説がやたらと詳しいです(笑)。
英国軍ハイランド連隊の歴史を伝える非常に貴重な写真も掲載することができ、ファッション本の枠を超えた非常に充実した内容になっています。
アマゾンにて予約受付中。内容画像もあります。

スコットランド・キルト・コレクション
石井 理恵子 (著), 杉本 優 (著)
価格: ¥ 1,680

* 単行本(ソフトカバー)
* 出版社: 新紀元社 (2011/4/21)
* 言語 日本語
* ISBN-10: 4775309056
* ISBN-13: 978-4775309056
* 発売日: 2011/4/21

なお、明日この本の出版記念イベントが4月16日(土)にサクラカフェ幡ヶ谷にて開催されます。
バグパイプの演奏つき。
18:30(開場18:00)より、参加費1500円(ドリンク&おつまみ付)
詳しくはhttp://britcat.blog.so-net.ne.jp/をご覧ください。

Susan Boyle’s dream hits the road – 夢やぶれた後

昨日のスコッツマン紙のニュースフィードより。
Susan Boyle’s dream hits the road

前回の「スコットランドニュース」を書いていてふと、「そういやここ2ヶ月ほど世界中でいちばん注目を浴びていたスコットランド関連ニュースを取り上げていなかったな」と思い出しました。と言うわけで、スーザン・ボイルです。

まあ日本でもNHKを含めマスコミに大々的に取り上げられてますので、今さら紹介するまでもありませんね。この人です。

(日本語字幕つきバージョン)

英国の民放ネットワークITVの Britain’s Got Talent というタレント発掘番組の第3シリーズに登場したスコットランド人女性。グラスゴーオーディションで見た目からは想像もつかない美しい歌声で観客を沸かせ、その様子を収録した4月11日放映の番組は1000万人の視聴者を集めました。そのビデオがYouTubeに掲載されると今度は話題は世界中に飛び火。アメリカのテレビで取り上げられるまでに至って日本でも話題となりました。

ファイナルが近づくにつれて騒ぎはますます大きくなり、ホテルでからかわれて怒鳴り合いを演じて警察が出動する羽目になるなど、彼女の周囲はぴりぴりした状況に。

そんなプレッシャーもあってか、5月30日に放送されたファイナルでは感動のオーディションと同曲を歌うもダンスグループに優勝をさらわれて第2位。決勝直後にYouTubeにアップロードされた「スーザンに1票を」と呼びかけるビデオにライバルグループへの投票用電話番号が表示されるというハプニングがあったことから、これが敗因で本来ならもっと票を集めたはずではないかとの声も上がったそうですが、結果が発表されるとスーザンは優勝グループを「いちばん良かったから勝った」と祝福。しかしその後の舞台裏や宿泊先ではパニック症状から手をつけられないほどの錯乱状態を見せて、私営精神病院で芸能人の中毒治療などでも有名な「ザ・プライオリー」に緊急入院という結果になりました。病院は「過労の治療」と説明。しかしスーザンが出生時の酸素欠乏から学習障害があり子供の頃はいじめにあっていたことなども取りざたされて、番組制作側が出場者のサポートなどをきちんと行っていないのではとの批判が高まり、政府も調査を指示するほどに。一方番組審査員のアマンダ・ホールデンは「マスコミがあることないこと書き立てて大騒ぎするからストレスに耐えられなくなっただけ」と反論。いずれにせよ数日でスーザンも落ち着き、5日の入院後退院し、スコットランドの自宅に戻りました。

「夢やぶれて」という歌で世界にその名と歌声を知られるようになったスーザン・ボイル。皮肉にも優勝の夢はその通りやぶれる結果になったものの、元気を取り戻して Britain’s Got Talentライブツアーのリハーサルに参加した、というのが今回の記事でした。それとは別にアメリカなどからも出演オファーは引きもきらず、番組審査員の一人で辣腕音楽プロデューサーとしても知られるサイモン・コーウェル(と日本では呼ばれてるようですね。実際の発音はカウェルなんだけど)がレコード契約を結びたがっているという話もあり、「エレイン・ペイジくらい有名な歌手になりたい」という夢はしっかりかないそうな様子です。

おまけ:
スコットランド訛りを聞くのが好きで・・・という人もいるようなので、スコットランドのテレビが行ったスーザンのインタビュー。

SNP secures first euro poll victory – ナショナリズムの形

今日のスコッツマン紙のニュースフィードより。
SNP secures first euro poll victory

最近私の周囲を見ると、今月下旬の東京都議選告示を前に、選挙運動がすでに幕を切っているようです。国政面でもいつ解散総選挙になるかもわからないということで、すでに各党は準備を進めている様子。候補者の手伝いをしているサル友などもいて、Mixi日記にも選挙関連の話が出てきたり、政治の季節という感じです。

在邦外国人である我が家は誰も選挙権がないので、まあ他人事のようにそれを眺めているのですが・・・。

一方、ヨーロッパでは欧州連合(EU)の加盟国27ヶ国で欧州議会選挙が行われました。
本来なら私にも在外投票権がある選挙なのですが、在外投票人登録が遅れたため間に合わず、投票できませんでした(泣)。登録にはすでに日本に暮らしている英国人に保証人になってもらう必要があるんですが、周囲の知人は日本人とアメリカ人ばかりで、英国人を探すのに思いのほか苦労したのです。

さて、投票しそこなったこの選挙、国によって選挙制度や選挙日として規定している日が違うため投票は数日に渡り、6月4日(木)から7日(日)にかけて、ばらばらと投票が実施されました。英国では選挙の投票は木曜日と決まっています。27ヶ国の中では真っ先に選挙を済ませたものの、開票・結果発表は全ての国で投票が終了してから。じりじり待たされての開票となりました。

多数の国でひとつの議会の選挙を行う欧州議会選挙では、各国での投票は大体においてその国の既成政党に投票し、そうした各国の政党が似たような性格の党同士でグループを形成して「欧州政党」を形成するという形になります。ふたを開けてみると、欧州全体としては中道右派グループである欧州人民民主党(European People’s Party)が267議席で第一党の地位を確保。欧州社会党が大幅に議席を減らし、代わりに右派グループ・政党が議席を伸ばし、全体として右傾化の傾向が浮き彫りになりました。

英国でも国会与党である労働党(欧州社会党グループメンバー)が衝撃の大敗北。得票率を6.9%減らして15.7%に、議席は5議席を失って13議席という結果になりました。この敗北により、ゴードン・ブラウン首相(しつこく言うけどスコットランド人)が退陣を迫られることは必至という状況です。ところが、その失った5議席が国内野党第一党で欧州議会では最初から第一党だった保守党(かつては欧州人民民主党グループだったが袂を分かち、右派新グループ結成を模索中)の懐に転がり込んだのかと思ったらそうではなく、保守党は得票1%増で27.7%、1議席増の25議席にとどまりました。残る4議席の行き先は、国内第三党で中道左派の自由民主党(日本の同名政党とは無関係。欧州自由民主同盟メンバー)が1議席、そして保守党よりさらに右寄りの英独立党(UKIP。欧州議会では反EU・EU懐疑派の独立民主グループのメンバー)に1議席、極右政党である英国民党(BNP)に2議席。UKIPはなんと得票率16.5%で国内与党である労働党を抜かして2位につけ、議席数も労働党と同数という躍進ぶり。また6.2%の票を集めたBNPは初の欧州議席獲得になりました。どちらの党も反EUが党是のひとつで、それが欧州議会で数を伸ばすという皮肉な結果。英国以外でも、欧州主要国では軒並み右派勢力が台頭しています。

この背景には、経済危機による失業者数増加と生活不安から、移民問題に対して強硬策を約束する極右ナショナリスト政党が支持を得たことがあるようです。欧州外からやってきて安い賃金で働く移民労働者のせいで欧州国民が職を失っている、だから移民排斥に力を入れるべき、という論理です。その「移民」のくくりには私も入るわけで、正直言ってちょっと怖い結果です。やっぱり早めに在外投票登録して投票すれば良かった~(たった2票で結果が左右されるわけじゃないけど、やっぱりねえ・・・。日本人の皆さんも、選挙ではちゃんと投票しましょう!)。

さて、ここまでは欧州全体と英国全体の状況だったわけですが、ではスコットランドではどうだったかというと、こちらも労働党が得票率を5.6%減らして20.8%となる大敗北。でも、英国全体では議席を増やした保守党も同じく得票を0.9%減らして16.8%に、また英国全体では第2位に躍進したUKIPもやはり得票1.5%減で5.2%。では勝ち組は?というと、これはスコットランド議会の与党であるスコットランド国民党(SNP)。得票率を9.4%増やして29.1%とし、議席数こそ前回と変わらないものの史上初めて欧州選挙で労働党を抜いて得票数第1位の地位を確保するという結果になりました。

一見するとナショナリスト政党の躍進は欧州全体の流れと一緒でしょ、とひとくくりにされてしまいそうですが、SNPはナショナリスト政党といっても政策的には中道左派政党。欧州議会でも中道左派の欧州緑の党・自由同盟に所属。スコットランドでは「労働党よりも左寄り」と目される場面も多い政党です。その政策は、「英国と袂を分かち、独立国としてEUに参加して欧州内での発言権を確保する」という親EU路線。スコットランドの政治的傾向はやはり英国全体・欧州全体とはかなり違う様相を示すという結果になりました。SNP党首でスコットランド議会首相のアレックス・サーモンドは、これで国民からお墨付きを得た格好。スコットランド独立という党是に国民過半数の支持を得られるまでにはまだまだ遠い結果ではあるものの、スコットランド議会での采配に自信を深めたことは間違いありません。

この次のスコットランド議会選挙は2011年。その頃には我が家はまだ日本にいる予定。スコットランド議会選挙はスコットランドに住んでいないと投票できないため残念ながら私は傍観するしかありませんが、この調子で行くとSNPがさらに足場を固める可能性は強そう。一方英国総選挙は2010年の予定(その前に解散する可能性もあるけど)。こちらでもスコットランドでの投票傾向がどう動くか気になるところです(こっちはうちもちゃんと在外投票できるしね♪)。