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4月6日にスコットランド友好150周年記念コンサート

4月6日(月)に新宿の東京オペラシティホールにて、スコットランド友好150周年記念コンサートが開かれるそうです。日本とスコットランドの友好関係を祝い、音楽を通じてさらに友好を深めることを目的とするコンサートです。プログラムは2部構成で、第1部はクラシックで、スコットランドや日本をテーマとする曲をオーケストラが演奏。第2部はスコットランドの伝統音楽で、最後のシメはもちろんAuld Lang Syne大合唱。チケットはA席5000円~C席3000円だそうです。詳しくは以下に。

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http://www.scottishdevelopmentinternational.jp/concertより引用:

スコットランド友好150周年記念コンサート
Scotland and Japan in Concert

概 要

来る4月6日(月)に東京オペラシティホールにて、スコットランド友好150周年記念コンサートが開催されます。 このコンサートは日本とスコットランドの長きにわたる友好関係を祝い、音楽を通じてさらに友好を深めることを目的とするものです。

スコットランド・フィドルオーケストラの主要メンバーやシンガーを迎えての、東京フィルハーモニー交響楽団によるコンサートは、日本からの指揮者は藤岡幸夫、そしてスコットランドからはアンドリュー・マクガーバによる2部構成でお届けします。日本とスコットランドを代表する楽曲を存分にお楽しみください。

第1部はスコットランドと日本を題材とした純粋なクラシック音楽で構成され、

第2部は前半とは対照的に、スコティッシュ・フィドル・オーケストラからのゲストアーティストを迎え演奏する曲を盛り込んでの演奏です。

日時 :4月6日(月) 開場午後6時半、開演午後7時

会場 :東京オペラシティコンサートホール (新宿初台)

チケット : A:5000円 B:4000円 C:3000円

主催 :スコットランド国際開発庁

協賛 :ロイヤルバンク・オブ・スコットランド東京支店、アール・ビー・エス証券会社東京支店

プログラムについて:Programme

指揮者について:Conductor

出演者について:Cast

チケット購入: 各地のチケットぴあカウンター、または コンビニエンスストア(サンクス、サークルK、ファミリーマート)、または電話(音声自動応答)にて購入可能です。

* チケットぴあ店舗一覧
http://search.pia.jp/pia/spst/spst_map01.do
こちらからご覧いただけます
* 店頭購入ご案内(チケットぴあ店舗、ファミリーマート、サークルKサンクス)
http://t.pia.jp/guide/retail.html
* 電話にてのチケット購入:チケットぴあ 0570 – 02 – 9999
(音声自動応答Pコード 314 – 422) http://t.pia.jp/
公演に関してのお問い合わせ:スコットランド国際開発庁 03 – 5501 – 3479

スコットランド国際開発庁

ご連絡先:PR担当佐々木

masako.sasaki@scotent.co.uk

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ところでスコットランド友好150周年って何を起点に数えてるんだろう?
日英修好通商条約締結は1858年だけど(去年はそれを記念して「UK-JAPAN2008」というイベントがあった)、トマス・グラヴァー来日?横浜・長崎の開港?

今週ケルティックウィーク「スコットランドの日」

今週2月24日(火)~28日(土)まで、六本木ヒルズのテレビ朝日内の多目的スペースumuにて、「ケルティックウィーク2009」というイベントが開催されます。

ケルティックウィークは、音楽、ダンス、アート、言語、絵本などを通して、ケルト文化を紹介するイベントです。毎日、様々なワークショップ、コンサート、展示や販売などが行なわれます。

毎日日替わりテーマが決まっており、木曜日は「スコットランドデー」。タータンショップ・ヨークによるタータンのファッション・ショー、スコッチ文化研究会によるウィスキーのテイスティング、ブリティッシュ・ライフによるスコットランド・グッズの販売、日本スコットランド協会(JSS)の活動紹介展示などが行われます。スコットランドについて知る格好のチャンスですよ!

また、スコットランドデー以外の日にも、スコティッシュダンスや歌、バグパイプなどスコットランドの文化を体験できるワークショップがありますのでお見逃しなく。土曜日午後はグランドフィナーレ。ケルト音楽とダンスで幕を閉じます。プログラム詳細はこちらをご覧ください。

イベントスケジュール

ワークショップ詳細

さらに!イベント会場にでは留学相談コーナーも設置されます。経験豊富なスタッフに気軽に留学相談ができます。このコーナーのオープン時間は、火曜~金曜は13時から17時まで、土曜日は11時~17時までとなっています。

ケルティックウィークは入場料500円、各ワークショップ参加費2000円(入場料含む)ですが、木曜のスコットランドデーに限りオープンデーで入場無料(*)になります。ぜひぜひお見逃しなく!
*ウィスキーテイスティングのみ別途1000円の料金がかかります。

スコットランドにお帰りなさい、の歌

スコットランドにお帰りなさい」で紹介した “Homecoming Scotland 2009”キャンペーンですが、向こうのテレビではこのキャンペーンのCMを流しているのだそう。

検索していたらYouTubeでビデオを見つけました。こちらです。スコットランド出身の歌手や俳優、スポーツ選手が登場して、「大好きなスコットランドに帰るんだ」と歌います。

最後のテロップの訳:
2009年はスコットランドにとって重要な年
ロバート・バーンズの生誕250周年です
だからみんなでお祝いします
年間を通して200を超える記念イベントをやります
世界中をご招待します  あなたも来てね

このCMを見て、たいていのスコットランド人が思い出すのが、同じ曲を使った別のテレビCMでしょう。あきらかにパクリ効果を狙ってます。オリジナルの方は1990~91年にTennentsというビール会社が流したもので、スコットランドでは爆発的な人気を呼び、CMで使われた曲がシングルリリースされて、1992年にはチャート1位のヒットになりました。曲はDougie MacLeanというフォーク歌手の1970年代の作品”Caledonia”のカバーバージョンで、ロック系歌手のFrankie Millerが歌っています。 ちなみにカレドニアというのはスコットランドの古名・雅名です。


心もすさむ大都会で暮らすスコットランド人が、ある日何もかも嫌になってスコットランドにふいっと帰ってしまう。すると故郷では昔からの友人が今日もなじみのパブで集まっていて、まるでいなかった日々が嘘のように迎えてくれる・・・という内容は、これ自体がビールの宣伝というよりはスコットランドの宣伝。スコットランド出身者の帰巣本能を刺激します。いや、これ久しぶりに見たら私も帰りたくなっちゃいましたよ。といっても今月すでに(半日だけだだったけど)帰ったばかりなんですが、エディンバラでウェイヴァリー駅から外に出るとこのCMの通りの風景が迎えてくれて、なんかうれしくなっちゃうんですよねー。いいですよ、スコットランド。行ったことのある人もない人も、一度「帰って」みませんか?

歌詞の訳:
(著作権とかややこしいことがあるので原詞は掲載しません。興味ある方は検索してみてください)

僕に訪れた変化に君は気づいているだろうか
なんだかこのまま遠ざかってしまいそうだと
ここ数日というもの心配になっていたんだ
だから古い物語を語ったり歌を歌って
自分がどこから来たのかを考えていた
今日僕が心あらずに見えるのはそのせいだ

だけど君を愛してるよ
いつも君のことを考えているよ
カレドニア
君が僕を呼んでいる
だから帰るんだ
もしよそ者みたいになってしまったら
僕にとってそれほど悲しいことはないって
君もわかってるよね
カレドニアは
僕にとってすべてなんだから

スコットランドにお帰りなさい

スコットランドの国民的詩人と言えばロバート・バーンズ(Robert Burns)。文学史ではロマン派詩人のカテゴリーに入れられるようですが、スコットランド語/方言を使ってベタな恋の詩から痛烈な政治批判、コミカルな物語詩まで庶民の視点から作品を書き、大評判をとりました。大晦日の夜に「蛍の光」を歌って新しい年を迎えるという風習は今では世界中に広まっていますが、もともとはスコットランド発のもので、「蛍の光」はスコットランド民謡。これにバーンズがつけた歌詞 “Auld Lang Syne” で歌うというのが本来のセレモニーです。(ちなみに「蛍の光」は中国故事の苦学の話をベースにした卒業の歌ですが、 “Auld Lang Syne” は「友よ、旧交を温め一緒に飲もうじゃないか」という酒盛りの歌です。)バーンズの誕生日である1月25日の夜はスコットランドでは “Burns Night” と呼ばれ、バーンズが詩で讃えたスコットランドの伝統料理ハギスを食べ、スコッチを飲み、バーンズの詩を朗読し、バーンズが歌詞をつけた歌を歌い、最後はやっぱり “Auld Lang Syne” でしめる、という食事会 (Burns Supper) を行います。

さて、今年2009年はバーンズ誕生250周年。これを記念して今年はスコットランドでは今年を「バーンズの精神に倣って旧交を温める年」と位置づけ、大々的なキャンペーンを行います。題して “Homecoming Scotland 2009”。「スコットランドに帰っておいで」というキャンペーンです。アメリカ、カナダ、オーストラリア、ニュージーランドといった英語圏諸国にはその昔スコットランド人が多く移民しており、今でもスコットランド出身というルーツに誇りを持つ人たちがたくさんいます。そうした人たちにスコットランドに来てもらって「お帰りなさい」と迎えようというのがキャンペーンの主旨。中心となるのは1月25日前後のバーンズナイトイベントと夏のエディンバラフェスティバル、そしてホームカミングのフィナーレとして位置づけられた11月30日の St. Andrew’s Day (スコットランドの守護聖人である聖アンドリューの記念日。最近国の祝日に昇格した)関連イベントですが、他にも年間を通じて様々なイベントが企画されています。主なターゲットは英語圏各国のスコットランド系住民ですが、「スコットランド好きな人は誰でも歓迎!」とのこと。ちょうど今はポンドも安いし、これを機会にぜひ今年はスコットランドを訪れてはいかがでしょうか?

Homecoming Scotland 2009ホームページ(英語)
(http://www.homecomingscotland2009.com)

英国政府観光庁の Homecoming Scotland 2009 紹介ページ(日本語)

Labour defy odds in Glenrothes ・・・もうひとつの選挙

スコッツマン紙の見出し。
Labour defy odds in Glenrothes

11月4日の米国大統領選挙でバラック・オバマが当選し、8年ぶりの民主党政権奪回、そしてアメリカ初の黒人大統領誕生となりました。この選挙は世界でも注目を集め、結果が報道されると各国から祝いの声が寄せられましたが、実はその2日後、スコットランドでは同じくらい(?)注目を集める選挙が行われました。ウェストミンスター議会グレンロセズ選挙区の補欠選挙です。この選挙区は労働党のジョン・マクドゥガル議員の議席でしたが、今年8月に議員が死去したことにより空席となっていました。選挙が行われたのが3ヶ月近く後になったのは、補欠選挙日程決定権を持っていた労働党の意向によるもので、9月の労組や政党の年次総会シーズンを避けるためでした。またアメリカ大統領選挙と同じ週に日程を設定したのも故意ではないかとの声もありました。もし敗北した場合に「労働党、また敗北」のニュースが大統領選挙という大ニュースの影に隠れて目立たないようにとの配慮だったのではないかというのです。

というのはこの選挙、場所が悪い。グレンロセズ選挙区というのはブラウン英国首相の議席の隣り、いわば裏庭に当たる位置にあります。もともとは炭鉱の町で、昔からの労働党の大票田。2005年の総選挙では、マクドゥガル議員は次位候補に倍以上の大差をつけて当選しています。本来なら労働党としては何の心配もしなくていい議席だったのですが、今年はそう安心していられません。スコットランド議会はすでにSNP(スコットランド国民党)が労働党から政権を奪い、以来意外に支持を堅く維持していますし、一方ブラウン政権は大不評。今年の夏には同じく労働党の大票田だったはずのグラスゴー・イースト議席をSNPに奪われるという考えられない事態も起きていて(くわしくはこちらを参照)、「グラスゴー・イーストが転ぶなら、他のどこが転んでも不思議はない」という認識がありました。実際、この補欠選挙に関する世論調査でもSNP支持の声は大きく、スコットランド労働党にとってはこの選挙、負ける覚悟で挑む戦いだったのです。しかし裏庭を奪われたとなるとブラウン首相の方にも指導力を問う批判の矢が向かうことは必至なので、この補欠選挙はスコットランド労働党だけでなく、英国政治全体にも影響する可能性があると注目されていました。「大ニュースの影に悪いニュースを隠そうというつもり」との声が上がったのもそのせいです。

ところが、10月に入ってこの情勢を一気に転じる大きな事件が起きました。世界金融危機です。もともとは昨年から明るみに出た米国のサブプライムローン問題に端を発するこの金融危機、すでに英国でも去年のノーザン・ロック銀行の信用危機と政府による救済など、米国以外の国にも他人の話ではないことはわかっていましたが、今年10月にはニューヨーク市場大暴落が起き、世界を震撼させる大危機に発展しました。米国ではこの金融危機がブッシュ政権批判に結びつき、変革を訴えるオバマ候補の追い風になって選挙戦の行方を決定したとの見方が一般的ですが、この同じ金融危機が、グレンロセズ補欠選でも大きな影響を及ぼしました。

SNPにとって決定的な痛手となったのは、アイスランドの国家財政破綻のニュースでした。そもそもSNPはスコットランド独立を党是に掲げる政党。スコットランド議会では政権党としていろいろ国政政策もあるわけですが、常に話題になるのは「スコットランド独立に関する国民投票をいつやるのか?」という問題です。SNPは次回のスコットランド議会選挙が行われる2011年までに国民投票を実施するとの計画で、現在それに向けて「国民との対話」プロジェクトを展開中です。その際、「欧州でも強い発言権を持つ大国からわざわざ分離して小国になるなんて無謀」という独立反対意見に対してSNPが挙げていたのが”Arc of Prosperity”、つまり「繁栄の円弧」の例でした。「繁栄の円弧」とは、北ヨーロッパの端を弧を描いて取り囲むように位置する小国群のことで、小国でありながら欧州内でも有数の富裕国であることから、「スコットランドも独立してこの弧に加わろう」と訴えたわけです。この円弧を現在形成している国というのが西のアイルランド、北のノルウェー、そしてアイスランドなのでした。アイルランドの人口は600万弱、ノルウェーは480万程度、そしてアイスランドはわずか30万強。地理的にも近いこれらの国にできて人口500万強のスコットランドにできないことはない、というのがその主張です。中でも人口はひとケタ少ないながら世界トップクラスのGDPを誇るアイスランドの存在は、説得力があったのです。

ところが今回の金融危機により、その独立小国の輝ける星、アイスランドの経済の知られざる脆弱性があらわになりました。アイスランドは金融立国とも言われ、金融部門がGDPに占める割合が多かったのですが、実はこの金融部門が得ていた富の多くが海外からの預金によるものであり、米国発の金融危機を引き金に預金の引き上げが始まると、銀行はあっという間に信用破綻の危機に直面してしまい、小国アイスランドの限られた国庫では救済もままならない状態に陥ってしまったのです。おまけにこのあおりを食い、アイスランドのオンラインバンクを利用していた英国ユーザーも被害を被るという事態になってアイスランドと英国の関係は一気に冷え込み、アイスランドは輝ける星から「やっぱり小国はダメだ」と指差される存在に転落してしまったのでした。”Arc of Prosperity”(繁栄の円弧)どころか”Arc of Bankrupsy”(国家倒産の円弧)だと揶揄されるに至って、補欠選挙直前の世論調査では「スコットランド独立支持下落」の結果が報道され、SNPは一気に苦しい戦いを強いられることになりました。

そんな背景の中で投票日を迎えた補欠選挙は、蓋を開けてみれば労働党候補が7000票近い差をつけて議席を守るという結果になりました。裏庭を奪われずに済んだブラウン首相も一安心。「風が吹けば桶屋が儲かる」なんてことわざがありますが、オバマ氏を勝利に導いた金融危機の追い風は、英国ではブラウン首相を守る神風になったようです。今後米国が新大統領を迎え、経済再建に着手するわけですが、世界経済の動きに応じてスコットランドの政治情勢がどうなるかが注目されます。

オリンピックとスコットランド

北京オリンピックが終わりました。
今回英国のチームGBはメダル総数・金メダル獲得数で共に中国・アメリカ・ロシアに次ぐ4位という目覚しい成績を残したのですが、日本のテレビ中継や新聞記事からは、誰が何でメダルを獲得したものやらさっぱりわかりません。スコットランド出身の自転車競技選手クリス・ホイが、日本のお家芸ケイリンも含む金メダル3冠を獲得していたという大ニュースも、英国メディアでチェックするまで知りませんでした。まあこれは英国に住んでいたために日本選手の活躍をごっそり見逃した4年前のアテネ五輪と同じパターンを反対にしただけで仕方ないんですが。ただ、たまに英国選手が(たまたま日本選手も同じ競技に出場していたために)テレビに映った時にも、その選手がイングランドの人なのかスコットランドの人なのかということが全然わからないのが残念でした。

さて、オリンピックが巡ってくるたびにマスコミに登場するのがこちらの2つの話題。どちらもBBCニュースの見出しです。

Salmond rejects UK football team

Call for Scottish Olympics team

ひとつめは、英国首相(スコットランド人)のゴードン・ブラウンが「次のロンドン五輪にはぜひサッカーにチームGBを」と発言したのに対して、スコットランド首相(こちらももちろんスコットランド人)のアレックス・サーモンドが猛反対、という話。

英国では、国内のサッカー協会がイングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドに分かれており、FIFAにもそれぞれ独自に加盟しているという事情から、オリンピックの男子サッカーにはチームGBが出場していません。次は五輪開催国になるのに、国内人気ナンバーワンの競技に自国チームが出ないなんてさびしい、というのがブラウン首相のもっともな言い分ですが、サッカー関係者にとっては、オリンピックにチームGBを出したことでなし崩し的にFIFAからも「それじゃこっちでもチームGBでよろしく」という声が上がり、今の4協会体制から合併を強いられるという結果になることが何よりも困るので、反対する方も必死。国内世論でも、イングランドはともかくそれ以外の「国」では、「いくら自国のサッカーが低迷を続けていても、イングランドに併合されるのは絶対イヤ」という声は根強いのです(なんせ自国チームがワールドカップに出られなかった年はイングランドと対戦する国を応援するのが基本、というお国柄ですから)。ラグビーではなぜか同じような体制になっているにもかかわらず、ブリティッシュライオンズというチームGBが南半球諸国と対戦したりすることもあるのですが、サッカーでは確執の根深さもあり、また、チームGBといっても現在の実力を見れば内容はイングランドチームそのままになってしまう可能性が高いということからくる反発もあって、ブラウン首相(繰り返しますがスコットランド人)の夢の実現はなかなか難しそうです。

もうひとつのニュースは「この次のオリンピックからはぜひ『チームスコットランド』を」というスコットランド政府の発言。

具体的には、スコットランド政府のスポーツ相(当然スコットランド人)スチュアート・マクスウェルが「ジャマイカみたいにちいさな国が金メダル獲得や世界新記録を出す快挙を遂げ、自国の誇りを世界にアピールした。スコットランドだって同じことができる」と、スコットランド独自チームでの出場を訴えたとのこと。一方でスコットランド労働党は「チームGBだからこそこんなにがんがんメダルを取って世界の晴れ舞台で輝くことができた。わざわざ弱小国として出場してどうする」と反発。スコッツマン紙では、前述の金メダル3冠王クリス・ホイ(前述の通りスコットランド人)が「チーム・スコットランドでやろうなんて馬鹿馬鹿しい話。チームGBだったからこそ自分も3冠を達成できた」とマクスウェル発言を批判した、という記事を掲載しています。

Chris Hoy: Scottish team in Olympics would be ‘ridiculous’

ところで、この話題に関連する記事を検索していたら、こんなデータに行き当たりました。

「あなたはスコットランド人か、英国人か?」という質問への回答の変遷
「あなたはスコットランド人か英国人か?」という質問に対する回�の変遷

スコットランド人度・英国人度を選ぶ質問への回答の変遷
スコットランド人度・英国人度を選ぶ質問への回�の変遷

要するに、スコットランドの人に「お前はスコットランド人(Scottish)か英国人(British)か?」と聞けば「スコットランド人だ」と答える人が1990年代以来ずっと7~8割を占めているが、もっと詳しく聞いてみると「英国人ではなくスコットランド人」「どちらかというとスコットランド人」「スコットランド人でもあり英国人でもある」が、実は大体同率くらいでせめぎあっているらしい、ということですね。オリンピックを巡るこんな論争が毎度出てくるのも、このあたりの反映といえます。

Labour beaten in by-election shock ・・・激震

今日のスコッツマン紙のニュースフィードにこの見出しが。

Labour beaten in by-election shock

今日のスコットランドのニュースはこれ一色ではないかと想像します。

英国では伝統的に木曜日が選挙の投票日。夜10時に投票が終わるとすぐに投票箱回収、開票になり、その夜のうちには結果が発表され、睡眠不足で目を腫らした当選者の挨拶がテレビ中継で放送されます。私はつきあってられないので朝のニュースで結果を確認してましたが、この開票速報ライブが好きで徹夜でテレビにかじりつくという人もけっこういます。

そういうわけで、この間「SNP overtake Labour in poll ・・・ついに」と題した投稿でも触れたグラスゴー・イースト選挙区の補欠選挙が昨日行われ、結果が数時間前に発表されましたが、蓋を開けたらまさかの大逆転。労働党が永年指定席をSNPに譲る事態になりました。

開票結果発表の様子はこちらで(BBCビデオ)

個人的には「SNP大健闘するも労働党の支持岩盤を崩すには至らず」という結果を予想していたので、私もびっくりしています。そういえば去年の自治議会選挙の時も、私の予想は「SNP大躍進するが僅差で労働党が勝利」だったからなあ。どうも私はスコットランド政治地図の変動ぶりを過小評価してしまう傾向があるような・・・。比例代表制の自治議会選挙と違い、ウェストミンスター議会選挙は現在もストレートな単純小選挙区制。小幅の変化は死票として飲み込まれてしまう制度の中で、前回選挙での13,507票の差をひっくり返したとなれば、まさに大地震クラスの地殻変動がスコットランドで起きていると言っていいでしょう。

さて、この結果を受けてまず誰もが考えるのはゴードン・ブラウン首相の運命。ここのところ労働党は選挙敗北が続いていて、全国でももっとも安全な議席のひとつだったはずのグラスゴー・イーストまで奪われたとなると、指導力に疑問符がつくのは必至。自主的に辞任しない場合、旧ブレア派による党内反乱でブラウン追い落とし、という事態になることが考えられます。

一方スコットランド労働党については、本来なら当然こちらも党首の首が落ちる事態ですが、すでに党首は6月に別の問題の結果辞職しており、党首選までの代理党首が指揮している状態。今回の選挙の影響がこの党首選に及ぶ可能性はあるかもしれませんが、変わらなきゃというのはわかっていても具体的な変革者が出てこないという手詰まり状況を打破できるのか?しばらくは混迷から抜け出せないのではないかという気がします。

SNPの方はというと、スコットランド政府が「スコットランドの未来を考える国民の会話」を継続中。これを通じて、今はまだ少数派にとどまっているスコットランド独立への支持を、徐々に広げていきたい考えです。

英国議会の総選挙は、スケジュール通りなら2010年5月。まだまだ状況が変わるのに充分な時間はありますが、このまま労働党不振が続いて保守党が政権奪回という事態になった場合、それがきっかけになってスコットランドが独立に向かって走り出す可能性もあり、地殻変動の影響がどこまで及ぶか、予想し難い状況になってきました。

SNP overtake Labour in poll ・・・ついに

SNP overtake Labour in poll

・・・という見出しが今日のスコッツマン紙のニュースフィードにありました。

スコットランドで「英国で国政総選挙があった場合どの党に投票するか?」という世論調査を行ったところ、SNP (Scottish National Party、スコットランド国民党などと訳されることが多い)が33%の支持を得てトップに立った、というものです。SNPはスコットランド独立を党是として掲げる党です。現在英国議会の与党である労働党は29%で2位。

これ、実はものすごい結果です。スコットランドは伝統的には労働党の大票田。保守党政権が続いていた時期もスコットランドは常に労働党支持の厚い岩盤のような存在でした。時折SNPが勢いを得ることはあっても、所詮労働党の優位をひっくり返すことはできず、ちょっと波を立てるのがせいぜいという感じでした。

そこに変化が生まれたのが去年5月のスコットランド自治議会選挙。選挙戦が始まる前から世論調査などの結果でSNP支持が伸びを見せていて、「今回は労働党、ちょっと危ないんじゃないか」とささやかれていました。当時はまだ英国議会ではトニー・ブレアが首相。イラク戦争に端を発するこの人のスコットランドでの不人気ぶりが糸を引いていました。スコットランド自治議会は比例代表制のため議席数獲得に大差がつきにくいこともあり、労働党与党も自由民主党との連立内閣という形でやっと過半数を確保していました。「今回はSNPが躍進しそう」という声に危機感を持った労働党は「SNPに政権を与えてスコットランドが独立ということになったら大変だ」というテーマで選挙戦を展開。そのあまりのネガティブ・キャンペーンとビジョンのなさが逆に反発を招いて、ふたを開けたら結果は1議席差でSNPがトップに。こうしてSNPが少数政権ながら自治議会を制し、サーモンド党首が自治議会首相となりました。

このサーモンド首相、マスコミも労働党もいつコケるかと待っていたのだが意外に評判が良くて、「やっぱりSNPに投票したのが間違いだった」という声はいっこうに出てきません。一方の労働党はまさかの野党落ちのショックで迷走状態。選挙後党首となったアレクサンダーが早くも辞職する事態になり、再興の糸口がなかなか見えてきません。また、スコットランド労働党にとっては再生の期待の星だったスコットランド出身のゴードン・ブラウンがやっと英国首相の座についたものの、こちらは意外に人気が出ず、ゴードン効果は期待はずれに終わってしまいました。そんな背景で、ついに出てきてしまったのがこの、「英国総選挙での投票」を前提とした世論調査での労働党2位転落、というニュースでした。スコットランド自治議会選挙を前提とした調査ではなく、英国総選挙を前提とした調査でSNPが労働党を抑えて支持率トップに立ったのは、今回が史上初めてではないかと思います。

この報道、よく見ると世論調査は「YouGov poll for The Daily Telegraph」となっています。YouGovはインターネット投票による世論調査サイト。Daily Telegraphは反労働党で知られる保守系全国紙。この報道をDaily Telegraph紙サイトで見てみると、見出しは「Only third of Scots favour independence」となっており、SNPが支持でトップに踊りだしたことではなく、同じ調査で独立支持は36%にとどまり、独立反対は48%と依然大きな差があることの方に注目しています。Daily Telegraphの支持する保守党(正式にはConservative and Unionist Partyといい、連合王国の枠組保守が党是)はスコットランド独立に強硬反対しているので、これは当然。労働党転落はうれしくてもSNP躍進はうれしくないので、独立不支持がいちばんのグッドニュースなわけです。

それよりも、調査媒体がYouGovであるというのが目を引きました。インターネットユーザーに限定される世論調査なのでその正確さが疑問視されることも多いYouGovですが、一方で選挙結果予測の世論調査では伝統的な世論調査よりもむしろ正確な予測を出すことも多く、注目されている媒体です。スコットランドでは一般に、高年者層で労働党支持が強く、若年層でSNP支持が増えるという傾向があります。また、スコットランド独立に関しても、年齢層が下がるほど独立支持も増える傾向が強くなります。インターネットベースの世論調査では若年層の声が強くなるんじゃないかという気もします。YouGovではそのへんを均一化するため調査結果をフィルターしているそうですが、どうなんでしょうね。現実的な投票行為と世論調査のギャップというのも常にあるわけで(まじめに投票に出かけるのは高年者層)、まあいずれにしても鵜呑みはできないでしょうが。

今回のYouGov調査、サイト掲載の結果レポートを見るとかなり多岐に渡る質問が設定されているのですが、中でもいちばんスコットランド労働党が気にしているのは、補欠選挙に関する質問の結果でしょう。
現在スコットランドでは、7月24日に行われるグラスゴー・イースト選挙区補欠選挙の選挙戦の真っ最中。グラスゴー・イーストは、日本人には「中村俊介がプレーするセルティックのホームグラウンド、パークヘッドがある選挙区」と言うのがわかりやすいでしょうか。英国でももっとも貧困問題に苦しむ地域のひとつと言われ、また労働党の永年指定席のひとつ。前回の選挙では労働党候補者が票の43%以上を獲得して大差で勝っているのですが、ここのところ英国全国で起きている労働党惨敗の影響が心配されています。YouGov世論調査では「この補欠選挙でどの党に勝ってほしいか」との質問に、労働党が33%、SNPが49%。もちろん回答者のほとんどはこの選挙区の有権者ではないので実際にはあまり意味のないデータですが、もし勢いに乗ったSNPが勝つ事態になったら、スコットランド政治、英国政治に激震が走ることになるのは間違いありません。