ご無沙汰しております。
今、英国では総選挙戦がたけなわです。で、さかんに世論調査のデータが発表されているのですが…
BBC News – See how the main parties have fared over time with the Election 2015 poll tracker http://t.co/7JOiCEInyq 今回の選挙ではこのグラフはわりと意味ない。
— Yuno Dinnie/杉本優 (@yunod) April 6, 2015
ぱっと見ると保守・労働が拮抗してUKIPがそれに続く図式なので前回の選挙で保守・労働とも半数未達でLibDemがキングメーカーになり連立政権が誕生した時と同じパターンでLibDemとUKIPが入れ替わるのかな?と誤解してしまいそうだけど、小選挙区制なのでそうはならない。
— Yuno Dinnie/杉本優 (@yunod) April 6, 2015
ちなみに2010年の時は得票率が保守36%、労働29%、LD23%で議席数は保守307、労働258、LD57。これが小選挙区制のマジック。今回のUKIPは今のところ前回のLibDemの支持率にかすってもいない。かつてのLDと同様、多くの議席で2位、3位になる可能性が高い。
— Yuno Dinnie/杉本優 (@yunod) April 7, 2015
これに対して今回は、BBCのグラフ見ると支持率が保守34%、労働33%、UKIP13%、LD8%。明らかにUKIPの方が支持率高いんだけど、LibDemほど支持基盤が地域的に集中していないため、議席予想を見るとどこもLibDemが25議席、UKIPは5議席以下としているんだな。
— Yuno Dinnie/杉本優 (@yunod) April 7, 2015
※ 最新の議席数予想についてはこちらを参照してください→ May2015 forecast
で、グラフで見逃しがちなのが「Others」という項目。これ、実質的にはほとんど全てSNPなんですよ。6%って大した数字に見えないけど、スコットランドの人口はUKの9%くらいです。もしOthersが9%に達したら、それはスコットランドが100%SNP支持になったと考えて良い。
— Yuno Dinnie/杉本優 (@yunod) April 7, 2015
ちなみにスコットランドの議席総数は59議席です。そしてスコットランドだけに限定した世論調査では今SNPの支持率が平均45%、労働党は28%、LibDemは4%です。そしてここでも当然小選挙区制マジックが働きます。2010の選挙の結果、スコットランドに限定すると(続)
— Yuno Dinnie/杉本優 (@yunod) April 7, 2015
得票率が労働42%、LD19%、SNP20%。議席数は労働41、LD11、SNP6。つまり前回SNPは今回のUKIPみたいな存在だったわけです。ところが、現在の支持率は5年前の労働党の支持率を超えている。地殻変動と呼ばれている所以です。現在の支持率が議席に反映された場合(続)
— Yuno Dinnie/杉本優 (@yunod) April 7, 2015
スコットランドの議席配分はSNP47、労働10、LD1になると言われています。いろんなところで予想出していますが、SNPの議席は40〜50というのが大方の見方。つまり、BBCの全国調査で「Others」のくくりに入っている党が、議席ではLibDemを抜いて第3党になると。
— Yuno Dinnie/杉本優 (@yunod) April 7, 2015
ここのところイングランドのメディアで急にSNPの露出度が高まっているのはこのせい。SNPはもちろんイングランドでは候補立てないのでまったく視野に入ってなかったのが、ここに来て実は前回のLibDemの立ち位置にあるということがはっきりしてきたわけですね。とんでもない穴馬です。
— Yuno Dinnie/杉本優 (@yunod) April 7, 2015
で、問題は前回と同様の図式にこの穴馬を投じるとどうなるかということですが、SNPはスコットランドでは「労働党より左」というスタンスです。公約している政策は見事にオールドレイバー。保守党には力を貸さないことを公言しており、労働党に対しては「連立はしないが政策協力」という方針。
— Yuno Dinnie/杉本優 (@yunod) April 7, 2015
ブレア以来どんどん右に寄ってしまった労働党を左に舵切りさせると宣言してスコットランドで絶大な支持を集めており、労働・LibDem両方から票を吸い取っている状態です。つまり、南では極右のUKIPが伸びてるのに、選挙後は逆に左の勢力が強まる可能性が高い。大荒れ必至ですねー。
— Yuno Dinnie/杉本優 (@yunod) April 7, 2015
SNPは昨年の独立投票で敗北した後急激に党員が増え、投票前の5倍に膨れ上がりました。いまや全人口の2%はSNP党員。子供も含めてスコットランド人の50人に1人は党員ということになります。
4月13日には、スコットランド人の半数以上がSNPに投票するとの世論調査結果が発表されました。小選挙区制マジックの効果で、半数の票を集めれば9割の議席が獲得できてしまいます。ちなみにスコットランドの総議席数は59。
More than half of Scottish voters are set to vote SNP at #GE2015 according to the latest poll: http://t.co/cwNIGQ90Ll pic.twitter.com/vNqESIMJ3d
— Scotsman (@TheScotsman) April 13, 2015
おまけ1:で、今年に入ってからメディアではさかんに「SNPの脅威が増大」「悪の親玉サモンドが数を頼んで労働党を操り英国を分裂させようとしている」と報じていたんですが、先日の7党首ディベートでは全国区でほとんど顔を知られていなかったSNP党首スタージョンが好印象を残したらしく。
新聞記事に「Twitterの検索欄でnicola sturgeonとタイプすると予測入力でnicola sturgeon prime ministerがトップに出てくる」と書いてあったので試したら本当だったww
— Yuno Dinnie/杉本優 (@yunod) April 3, 2015
おまけ2:ちなみに今は、Twitter検索欄に I wish と入力すると予測入力で I wish I could vote SNP がトップ表示されるという珍現象が起きています…。