Tag Archives: Diary

Loony Dook

エディンバラと言えば世界でも有名な(んですよ)大晦日パーティーイベントの開催地。

スコットランドでは伝統的に大晦日の夜のことをホグマネー(Hogmanay)と呼び、新年の到来を盛大に祝う慣習があります。0時を迎えると同時に近所の家を訪れ合い、1年の幸運を祈って乾杯する First Footing から、エディンバラだけでなく各地の都市で開催される野外パーティまで、祝い方はさまざまですが、酒が入るのは共通項。夜通し飲んでからベッドにもぐり込み、元日は二日酔いと共に過ごす…というのが一般的なパターンです。

でも新しい年の始まりなのにそれじゃちょっと不健康だよね、ということで、手っ取り早い酔い覚まし法として始まった比較的新しい伝統行事が、この Loony Dook です。

Loonyは「頭がいかれた」、Dookは「水に浸けること」または「飛び込み」で、要は寒中水泳。エディンバラから15キロほど西にある、フォースブリッジで有名なサウス・クイーンズフェリー(South Queensferry)の岸辺から、勇ましく水中に駆け込みます。1986年にジョークとして始まったのだそうですが、チャリティ募金イベントとしても人気が出て年々参加者が増加。今ではポリッジ(お粥)のメーカーがスポンサーになり、エディンバラのホグマニーイベントの一環として開催されるようになっています。

面白いことに、私が以前住んでいたオランダのハーグにもNieuwjaarsduikという名前の類似のイベントがあって、やはり元日に、北海に面した砂浜から海に駆け込んで寒中水泳をします。歴史はこちらの方が長いようで、毎年スープのメーカーがスポンサーになり、参加者に熱いスープを振る舞っています。

オランダ版では水着でやりますが、スコットランド版はLoonyな仮装をするのが正統派で、仮装パレードで街を練り歩き、スポンサーが提供する湯気の立つポリッジでお腹を温めてから水に入ります。ちなみに参加者はチケットの事前購入必須なので、飛び込み参加はできません。

Stoats Loony Dook, 1-1-2017, South Queensferry
https://edinburghshogmanay.com/events/loony-dook

SNP overtake Labour in poll ・・・ついに

SNP overtake Labour in poll

・・・という見出しが今日のスコッツマン紙のニュースフィードにありました。

スコットランドで「英国で国政総選挙があった場合どの党に投票するか?」という世論調査を行ったところ、SNP (Scottish National Party、スコットランド国民党などと訳されることが多い)が33%の支持を得てトップに立った、というものです。SNPはスコットランド独立を党是として掲げる党です。現在英国議会の与党である労働党は29%で2位。

これ、実はものすごい結果です。スコットランドは伝統的には労働党の大票田。保守党政権が続いていた時期もスコットランドは常に労働党支持の厚い岩盤のような存在でした。時折SNPが勢いを得ることはあっても、所詮労働党の優位をひっくり返すことはできず、ちょっと波を立てるのがせいぜいという感じでした。

そこに変化が生まれたのが去年5月のスコットランド自治議会選挙。選挙戦が始まる前から世論調査などの結果でSNP支持が伸びを見せていて、「今回は労働党、ちょっと危ないんじゃないか」とささやかれていました。当時はまだ英国議会ではトニー・ブレアが首相。イラク戦争に端を発するこの人のスコットランドでの不人気ぶりが糸を引いていました。スコットランド自治議会は比例代表制のため議席数獲得に大差がつきにくいこともあり、労働党与党も自由民主党との連立内閣という形でやっと過半数を確保していました。「今回はSNPが躍進しそう」という声に危機感を持った労働党は「SNPに政権を与えてスコットランドが独立ということになったら大変だ」というテーマで選挙戦を展開。そのあまりのネガティブ・キャンペーンとビジョンのなさが逆に反発を招いて、ふたを開けたら結果は1議席差でSNPがトップに。こうしてSNPが少数政権ながら自治議会を制し、サーモンド党首が自治議会首相となりました。

このサーモンド首相、マスコミも労働党もいつコケるかと待っていたのだが意外に評判が良くて、「やっぱりSNPに投票したのが間違いだった」という声はいっこうに出てきません。一方の労働党はまさかの野党落ちのショックで迷走状態。選挙後党首となったアレクサンダーが早くも辞職する事態になり、再興の糸口がなかなか見えてきません。また、スコットランド労働党にとっては再生の期待の星だったスコットランド出身のゴードン・ブラウンがやっと英国首相の座についたものの、こちらは意外に人気が出ず、ゴードン効果は期待はずれに終わってしまいました。そんな背景で、ついに出てきてしまったのがこの、「英国総選挙での投票」を前提とした世論調査での労働党2位転落、というニュースでした。スコットランド自治議会選挙を前提とした調査ではなく、英国総選挙を前提とした調査でSNPが労働党を抑えて支持率トップに立ったのは、今回が史上初めてではないかと思います。

この報道、よく見ると世論調査は「YouGov poll for The Daily Telegraph」となっています。YouGovはインターネット投票による世論調査サイト。Daily Telegraphは反労働党で知られる保守系全国紙。この報道をDaily Telegraph紙サイトで見てみると、見出しは「Only third of Scots favour independence」となっており、SNPが支持でトップに踊りだしたことではなく、同じ調査で独立支持は36%にとどまり、独立反対は48%と依然大きな差があることの方に注目しています。Daily Telegraphの支持する保守党(正式にはConservative and Unionist Partyといい、連合王国の枠組保守が党是)はスコットランド独立に強硬反対しているので、これは当然。労働党転落はうれしくてもSNP躍進はうれしくないので、独立不支持がいちばんのグッドニュースなわけです。

それよりも、調査媒体がYouGovであるというのが目を引きました。インターネットユーザーに限定される世論調査なのでその正確さが疑問視されることも多いYouGovですが、一方で選挙結果予測の世論調査では伝統的な世論調査よりもむしろ正確な予測を出すことも多く、注目されている媒体です。スコットランドでは一般に、高年者層で労働党支持が強く、若年層でSNP支持が増えるという傾向があります。また、スコットランド独立に関しても、年齢層が下がるほど独立支持も増える傾向が強くなります。インターネットベースの世論調査では若年層の声が強くなるんじゃないかという気もします。YouGovではそのへんを均一化するため調査結果をフィルターしているそうですが、どうなんでしょうね。現実的な投票行為と世論調査のギャップというのも常にあるわけで(まじめに投票に出かけるのは高年者層)、まあいずれにしても鵜呑みはできないでしょうが。

今回のYouGov調査、サイト掲載の結果レポートを見るとかなり多岐に渡る質問が設定されているのですが、中でもいちばんスコットランド労働党が気にしているのは、補欠選挙に関する質問の結果でしょう。
現在スコットランドでは、7月24日に行われるグラスゴー・イースト選挙区補欠選挙の選挙戦の真っ最中。グラスゴー・イーストは、日本人には「中村俊介がプレーするセルティックのホームグラウンド、パークヘッドがある選挙区」と言うのがわかりやすいでしょうか。英国でももっとも貧困問題に苦しむ地域のひとつと言われ、また労働党の永年指定席のひとつ。前回の選挙では労働党候補者が票の43%以上を獲得して大差で勝っているのですが、ここのところ英国全国で起きている労働党惨敗の影響が心配されています。YouGov世論調査では「この補欠選挙でどの党に勝ってほしいか」との質問に、労働党が33%、SNPが49%。もちろん回答者のほとんどはこの選挙区の有権者ではないので実際にはあまり意味のないデータですが、もし勢いに乗ったSNPが勝つ事態になったら、スコットランド政治、英国政治に激震が走ることになるのは間違いありません。